電子納品(その3)

 今回は、電子納品の現状についてお話します。ただ、実体験もそう多くはないので、セミナーや講習会での情報を元にお話しますが、大きくは外れていないと思います。

(現状といっても実体験もそう多くないので、セミナーや講習会での情報を元にお話します。大きくは外れていないと思います。)

 まず、2003年度までに電子納品の実績がある都道府県は、全部で18都府県(JACIC調べによる)。まだ40%にも達しない状態です。しかも、全面ではなく部分的な状態なので、県直轄工事ですら電子納品はまだまだ途上にあるということです。
 ましてや市町村レベルでは、準備すらできていない団体も。現在、県主催の勉強会に参加して、準備をすすめているところが大半のようです。

 いっぽう、国土交通省では、2004年度より直轄工事を全て電子納品対象としました。したがって、工事を請け負った方は、前回お話した「壁」を乗り越えていただかなくてはなりません。
 しかし、すべてきちんとした形での納品が実現できているわけではないようです。そもそもの発注図が電子納品対応しておらず(具体的には、画層名がきちんとできていない、線・文字が所定の画層に入っていない等)納品対象にできなかったり、私印取扱いの関係(はんこを押した打合せ簿の表紙)で電子納品対象外が増えたり、ということがあると聞きます。

 ところで、発注者側である地方公共団体職員は、どういった状態でしょうか。内容についてはほとんど周知されておらず、事前協議に関することも、受注者と手探り状態で行われていました。(1年前の話なので多少は改善されているとは思いますが。) 当時、国土交通省の電子納品経験者がアドバイザーとなって対応しましたが、そういう人がいない場合は大変だと思いました。
 最近は、発注者用の手引きも出ているようで状況改善が期待されますが、もともとパソコンが得手でない方
には困難な事態になっているようです。

 電子納品ソフトも、かなり改善されてきました。しかし、発注者の検査システムに合格しないとか、閲覧ソフトでうまく見られない等が多々ありました。これは、ソフトのバージョン違い(たとえていうなら、ボタンの掛け違いです)というような単純なミスもありましたが、ソフトウェアそのものの不具合も少なくありません。混乱が続いているのが実情です。

 まとめてみますと
 
 ・県レベルでは、進捗率3割程度の納品体制
 ・まだまだスタートラインの市町村
 ・発注者、受注者とも勉強中
 ・ソフトを含めたIT環境も発展途上

これが実態です。
 まだ始めてらっしゃらない方は、ほっとされたかもしれませんね。対象現場は、手探りで行わなければならないことが多いようです。

 現在、JACICでは、これらの状況を改善する為にCALS/EC インストラクター・エキスパートという資格者を認定中です。電子調達・電子納品に対する一通りの知識を持ち、アドバイスが出来る者で、人数は2101名(5月現在)。社団法人建設コンサルタンツのほうに登録者一覧表がありますので、お近くの方をお探しになって相談されてもいいでしょう。
 私自身も、インストラクターの資格を保有しております(申請中なのでまた未掲載ですが)。
 相談は無料ですので、お気軽にどうぞ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする