情報技術というもの

 このコーナーでは、ここ数回にわたり以下のようなテーマで話を進めてきました。
 
 K025 権限委譲と情報共有
 K026 効率化と非効率化
 K027 システム化とは

 一見、ITとは関係ないテーマにも見えますが、すべてこれは、自社をIT化していく上で必要な考え方や意識なのです。

 今までいろいろな方とお話した中で、「IT化がうまくいかない」、「わが社の情報化戦略がみえない」などと言われる原因として、IT環境、つまり、IT化をすすめるために必要な土台が作られていないことがわかりました。そして、その土台を作るために必要なものが、上記のテーマだったのです。

 今回は、同じくあいまいなままに理解されている「IT」つまり「情報技術」についてお話します。

 

情報技術にはいろいろなものがありますが、主なものとして、以下の3つがあげられます。

・情報処理
 「与えられた情報から目的に添った情報を導き出す」技術
 表計算やデータベースでの検索など
 (集計作業、名簿からの検索)

・情報交換
 「複数の人間がお互い持っている情報を交換する」技術
 電子メールや電子掲示板など
 (電話、郵便、掲示板)

・情報共有
 「情報を特定の場所に集めて、関係者が利用できる」技術
 ファイルサーバーやナレッジツールなど
 (回覧板、マニュアル)

 「なんだ、そんなこと知っているよ」といわれるでしょうが、では、これらを意識してIT化や情報化戦略を進めていらっしゃるでしょうか?つまり、処理を行えるように情報を提供し、その処理された結果を関係者同士で交換する。そして、その中の選ばれた情報が共有できる場所に保存され、新たに提供されるという循環のしくみです。

 情報技術のある一部分だけを利用するのでは、一時的な効率化しかできません。上記3つの技術を有効に組合せ、新しい情報を生み出したり、共有により会社全体の情報レベルをあげるように使う意識を持たなければならないのです。

 しかし、個々の製品(ワードやエクセル、メールソフト)の使い方が「情報技術」だと勘違いし、IT化や情報化戦略をすすめようとしていることが少なくありません。また、上に挙げた各技術の( )内に書いたものは、コンピュータを用いたものでありませんが、これを情報技術だと思わない方も多いです。例えば、宅急便で送ると740円であるのが、メール便ならば 160円ですむので、これを全現場に導入したところ大きな経費削減になったというのも、新たな情報技術の導入なのです。

 大切なのは、導入するITがどのような目的のために使う技術(つまり道具)なのかを明確に認識し、情報化戦略でどのような技術をどのタイミングで使うのか、全体計画をしっかり立てることです。

 私個人の考えでは、コンピュータを使うだけが情報化戦略ではないと思います。むしろ、( )内の手作業のしくみをしっかり社内で根付かせた上で、コンピュータによる効率化を図るほうが促進しやすいのではないかと思います。つまり、最初にお話したIT導入のための環境作りをまず行いましょうということです。

 みなさんの会社の戦略はどうですか?