情報セキュリティ(現場編)その5

 みなさんのところに迷惑メールはどれくらい届きますか。週に2,3通という方もあれば、日50通以上という方もいらっしゃるでしょう。どちらにしても、作業効率を下げる困り者であることには変わりません。今回は、この迷惑メール対策についてお話します。

 迷惑メールにもいくつかの種類があります。

・スパムメール
 いわゆる一方的な迷惑広告メールです。「特定電子メール適正化法」によると、「送信先に承諾を得ていないメールはメールのタイトルに[未承諾広告]等の表示が必要である」とされています。しかし、まじめに表記すると見てもらえなくなりますから、やらない業者が非常に多いのです。また、内容的に意味不明なものもあり、メールアドレス収集のために送られているものもあるようです。ちなみに、この「スパム」というのは缶詰の商品名ですが、あるコントから「繰り返される迷惑なもの」として使われるようになりました。

・チェーンメール
 昔はやった不幸の手紙の電子版です。困ったことに、善意のメール(ボランティア、○○救済)でもチェーンメール扱いになってしまうので、注意が必要です。最近は、懸賞や無料サービスを友人に転送させようとする偽善意メールが多いです。

・メールボム
 大量に意味不明のメールを送りつけることにより、受信箱をパンクさせます。ウィルス付きのものもありますので、不用意に開けると被害が拡大します。個人対象には少ないようですが、企業が被害に遭うと、業務に支障をきたす場合も多いようです。

 このようにいろいろな種類がありますが、題名だけでは判断できないようになっているのが実情です。ウィルス対策上、メールの中身をみるわけにはいかない(閲覧だけで感染するウィルスがある)ので、一層対策が難しくなっている状態です。必要なメールとの区別が付かず、思った以上に時間がとられる場合が多いのです。
 では、どのような対策をとればよいのでしょう。大きくは3つの対策に分かれます。

1.迷惑メール除去

 来てしまった迷惑メールを、自動的に削除する方法で、3通りあります。
 ひとつはサーバー側で除去する方法。プロバイダーが提供する迷惑メールフィルターを使ったり、自社サーバーの場合には専用ソフトを入るなどがありますが、要はメールサーバー側で迷惑メールと判断されたものを自動的に削除したり、マークをしたりするものです。
 二つ目は、ウィルス対策総合ソフトをそれぞれのパソコンに導入するものです。ウィルス対策では、メールによる感染を防ぐためにメールチェックを行うソフトがほとんどです。そこで総合ソフトでは、迷惑メールと判断されるものを自動的に削除できるような仕組みがあるのです。一つ目のサーバー型との違いは、自分で設定を変更出来ることです。
 三つ目はメールソフトのフィルタリング機能を利用するものです。よく使われているアウトルックエクスプレスでは、設定が難しいですが、有料版のアウトルックやサンダーバード等の迷惑メールフィルターが使えるメールソフトを利用すると、比較的簡単に迷惑メールを除去できます。

 これら3つの方法は、組み合わせて使うことも出来るので、より精度の高い防を行えます。ただし、本来必要なメールまで除去してしまう心配もありますから、定期的にフィルター条件を点検しなければなりません。

2.複数アドレスの使い分け

 会社のメールアドレス、個人のメールアドレス以外にも、懸賞用やオンラインショッピング用に別のメールアドレスを取得することで、メールアドレスが世の中に知れ渡れないような環境をつくることも大切です。この際に、Yahoo!メールのようなフリーアドレス(無料で取得できるメールアドレス)を使うとり金銭的な負担が無くアドレスを追加できます。懸賞サイトなどで日ごろ使うメールアドレスを入力すると、そのアドレスをメールアドレス収集業者に引き渡される恐れもあります。

3.メールアドレス管理

 迷惑メールに、不用意な返信をしてはいけません。「このメールが不要な方は返信してください」等の文言が書いてあるからと、まじめに返信すると、相手にこのメールアドレスがあることが知れ、宛名から名前までばれてしまいます。アドレス帳や一覧表の管理も重要です。会社のアドレス一覧表が流出し、大量の迷惑メールに悩まされた企業の話もあります。このような対策は、会社全体で個人情報保護の一環として基準を策定することが望ましいです。

 上記のような対応をしても、迷惑メールが0になることはありません。しかし、格段に負担は減るはずです。ぜひ実践してみてください。