業務改善の育て方(その6)

 前回、オフィスの環境改善(空間の改善)についてお話しました。今回は、時間の改善、つまりワークフロー管理がテーマです。

 個々のスケジュール管理については、
「工程管理はしっかりしているぞ!」「自分のスケジュールは頭に入っている」
という声が聞こえてきそうですが、スケジュール共有に関しては、できているという声はあまり聞こえません。つまり、部署や現場をまたぐ業務の流れ(ワークフロー)管理ができていないのです。

 たとえば、現場単位での工程管理はできているとしても、複数現場を見通して工程管理している方はいるでしょうか?
 

私が以前いっしょにお仕事させていただいた建設会社がありますが、すばらしいと思ったこととして、測量班を複数現場で共有している例がありました。測量は工事にとって必要不可欠ですが、ほとんどの会社では、現場に配属されたメンバーで測量を行う場合がほとんどです。いつでも出来る反面、準備が不足していたり技術・時間に差が出てくることがあります。

 測量班が複数現場をみることで、現場の負荷が減ると同時に測量作業の速度は確実に上がります。また、測量機器の数もたくさんは要らないことから質のよいものを使うことができ、さらに業務改善に寄与します。

 いいことづくめのように見えますが、大事なことがあります。各現場の測量業務をまとめて管理せねばなりません。これには、現場ごとにどのタイミングで測量しなければならないかを工程から判断するとともに、測量業務が重なったとき
にどちらを優先するのか、事前対応の可否などを調整する必要があります。このためにスケジュールの共有化は必須であり、変更による更新も速やかに行う必要があります。これがなかなか出来ないのですが、その会社は密な連絡とスケジュール管理ソフトの活用で見事に運営していました。

 一般オフィスでも、複数部署にまたがる業務は少なくありません。むしろ、単独部署内で終わる業務は、不要な業務として要チェックです。依頼先(入力)も提出先(出力)も一部署という業務は、無駄が多いものです。ということは他部署のスケジュールが自部署に影響するのは当たり前ということです。

 もちろん、他部署の個々人のスケジュールを細かくみていくのはあまり意味がありませんし、時間の無駄です。しかし、複数部署にまたがる業務に対してスケジュールを管理するのは、業務効率の観点から有用なはずです。業務・書類の流れを可視化することにより、業務のネックを捕らえ、改善することができます。
 これがワークフロー管理なのです。

 たとえば、ある業務をA部署は余裕で処理しているのに、後続のB部署はいつも残業続きならば、当然A部署とB部署の作業分担を変更すべきです。しかし、部署内の問題は比較的見つけやすいのですが、部署間の問題は見つけにくいものです。ワークフロー管理を行うことで、この問題を見つけることができます。

 このワークフロー管理にグループウェアはうってつけです。しかし、グループウェア導入をしている会社でも、個々のスケジュール機能やメール機能、掲示板機能は使っていても、ワークフロー機能まで使っているところはあまり多くありません。(多くのソフトでオプション扱いになっている)

 ITを使わなくても、日付入りはんこを使えば、紙ベースでのワークフロー管理ができます。対象書類に空白があれば、そこに各部署の受領・作成(処理)日付を押します。ここでのポイントは、部署内での書類の滞空時間をわかるようにすることです。あとは、1ヶ月とか半年ごとに日付集計を行い、業務の進捗状況をまとめます。処理の迅速な部署と遅い部署は、日付を集計すると見えてきますから、そこに業務手順を当てはめ、どこがネックかを見つけるのです。ISO書類などはこれがよくわかって、作成と審査は早かったのに承認が異様に遅いなどの場合は、権限委譲を速やかに行い、承認業務の分散を図るという対策可能です。(あまり対応してはいないようですが。。。)

 前回、収納棚の扉を開けっ放しにすれば、空間のムダがわかることを説明しましたが、ワークフローを日付で見れば、時間のムリ、ムラが見えてきます。みなさんの会社はどうですか?