業務改善のはかり方(その2)

 前回は指標の設定における2つの視点についてお話しました。
具体的にいうと、

・数値で表せるものと表せないもの
・ある期間の終わりでの指標とその途中での指標

です。今回は、はかるタイミングとはかったものの記録方法についてお話します。

 まず、はかるタイミングですが、できるだけリアルタイムになるようにします。ただ、リアルタイムとは、毎秒毎秒記録をとるという意味ではありません。指標が出せるタイミングになったら、なるべく迅速に指標を記録するという意味です。

 人間の記憶は、時間が経過するにつれ急速に低下します。ある心理学者の研究によると、20分後で4割程度、1時間で5割もの記憶が欠落するといいます。ですから、できるだけ早く時点で記録するのです。

 作業時間を記録するのであれば、作業終了直後、すぐ記録できるようなシートを用意して、その場で記録する。販売時の接客対応評価なら、販売時にアンケートを手渡し、できるだけ早く書いてもらうようにするなどの工夫をします。これを怠ると、せっかくの指標の価値がさがってしまいます。また、業務にどういう指標があるのかを常に明確にしておくことが大切です。帳票に指標を掲載するといいかもしれませんね。

 次に記録方法ですが、できるだけ、デジタル化されたものが望ましいでしょう。集計が便利なだけでなく、指標の配信や確認をする際も紙よりだんぜん早いからです。ただ、自社の成熟度を無視したデジタル化はかえって記録の妨げになります。記録システムに不慣れな人が入力を間違い、修正できないでそのままになったり、ついまとめ入力をして精度が悪くなったりしがちです。最初は紙から始め、徐々にデジタル化していきましょう。

 紙でもデジタルでも同じですが、いかに楽に記録出来るかが大切です。文言が決まっているなら丸付けだけ・クリックするだけにする、項目を書きやすい順番に並び替える、同時に発生する指標はひとつにまとめる等、工夫はいろいろあります。

 また、記録は書いて終わりではありません。それをまとめ、次につなげぐことに意味があります。つまり、まとめやすいように記録されていることも重要です。「電子化していれば集計は簡単だろう」といわれそうですが、まとめることを意識していないデータは、意外と集計に時間がかかります。紙ならなおさら大変です。色分けや適切な空白など、集計ミスをしないような工夫も行っておきましょう。

 最後に忘れないでほしいのは、記録用紙も方法も改善していく必要があるということです。一度作ってしまったからと思わず、改善すべきなら記録用紙や方法ももどんどん作り変えていきましょう。そして、修正したらすばやく関係部署に配布し、旧版を廃止する仕組みを作っておきましょう。新版と旧版の混在は関係者に混乱を招くだけでなく、改善へのモチベーションの低下にもつながります。記録もひとつの業務なのです。

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