業務改善のみせ方(その5)

 エクセルでできるグラフを中心に、様々なグラフの紹介をしてきました。グラフは端的に物事を伝えることが出来ますし、多くの方に短時間で一定の情報を伝えるには、必要不可欠だと思います。

 さて、今まではできがった指標をまとめるという視点からグラフを紹介しましたが、今回はもう少し上の視点に立ち、業務改善で活用したい図表をご紹介します。QC7つ道具と呼ばれ、7つの図表によって、さまざまな品質管理を支援するものですが、業務改善にも使えます。

大きく分類すると

A.事前準備や調査用として
 1.チェックシート
B.合意形成や会議中のツールとして
 2.特性要因図
C.出てきた結果をまとめるものとして
 3.パレート図
 4.ヒストグラム
 5.管理図
 6.散布図
 7.グラフ

の3つに分かれます。このうちCは、前回までで既にご紹介したものもありますが、7つ道具という視点から再度取り上げます。

1.チェックシート

用途:要因の調査や改善レベルの把握などに使います。事前に書き出すことで、もれや重複をなくすことができ、また調査における個人差をも無くせます。

作図:あらかじめ、チェックすべき項目を箇条書きで書き出し、レ点や○で簡易かつ効率よく指標を確認できるようまとめます。

2.特性要因図

用途:ある問題点に対して、原因を突き詰めていくときに使います。また、個々の因果関係の確認にも使えます。出てきた指標をまとめるのではなく、打合せ時にみんなで追求するときに使います。

作図:問題となる特性を左端にかき、そこから右に向かって1本の線を引きます。あとは魚の骨のようにその線に向かって矢印を書き、その末端に原因となる項目を書きます。さらにその原因の原因がある場合は、その新しく書いた線に向かって矢印を書いていきます。

3.パレート図

用途:問題点や成功例、要望などの各項目中、影響力の大きなものはどれかを把握するため使います。すると、少数の項目で多くの影響力を及ぼすことが分かります。

作図:項目の要因を棒グラフにし、大きい順に並べます。さらにそのグラフに累積度数分布線(各要素のパーセンテージを次々に足し合わせた折れ線グラフ)を加えます。

4.ヒストグラム

用途:測量誤差や作業時間のばらつき等の、分布状況を把握するのに使います。これによって、平均値とそのばらつき具合が分かります。

作図:バラつきをもった指標を一定の区間ごとにまとめ、棒グラフにしたものです。小さい指標から大きい指標の順に並べることで、平均値付近で最大値をとるような山形の棒グラフができます。

5.管理図

用途:ある業務が問題なく運用されているか、確認する時に使います。管理指標に上限値と下限値をもうけ、それを超えた場合は異常事態として対策を考えます。

作図:基本的には縦軸に指標、横軸に時間をとった折れ線グラフを書きます。さらに、上限値と下限値の線を上下に記入することで、指標が管理値内でどのような動きをしているか確認します。

6.散布図

用途:2つの指標の関係把握に使います。ばらつきが左下から右上にあるならば、正の相関(お互いが増える方向に作用する)・左上から右下ならば負の相関(一方の増加が他方の減少に作用する)があるといいます。ばらつきが満遍なくあり、相関がない(互いが影響しあわない)ことを把握するのにも使います。

作図:2つの指標を縦軸と横軸にとり、交点を記入します。多くの点があると、傾向をつかみやすくなります。逆に、少ない場合は間違った相関をとらぬよう注意が必要です。

7.グラフ

用途:指標を見やすくするために使います。上記の3-6で表現しにくいものを表示するのに使います。

作図:棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなど、表現したい目的に応じて作ります。

 7つ道具は特性要因図を除いて比較的よく見かけるものばかりですが、意外と業務改善の中では使わないように思います。チャンスがあれば、ぜひ使ってみてください。

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