業務改善のはかり方(その3)

 以前、はかり方をいろいろな視点でみることが大切であると述べましたが、それは定性的な見方と定量的な見方という概念でした。今回はもう少し具体的な視点から、お話したいと思います。

 PQCDSME

をご存知ですか?建設業の方であれば、QCDSといったほうがピンとくるかもしれません。業務を潤滑に遂行するために意識すべき視点としてよく言われるものです。以下、具体的にお話しましょう。

P(Productivity):生産性

 一定の材料・設備に対し、どれだけの付加価値を生み出したかをみる視点です。機械の稼働率、業務効率(業務時間短縮)などの指標で評価しますが、売上高と原価の比、従業員一人当たりの利益などで付加価値を評価することもあります。

Q(Quality):品質

 所定の規格を満たすための活動や結果をみる視点です。代表的なのは不良品率ですが、検品の精度や品質を確保するための機器類の管理も、指標として取り入れることがあります。

C(Cost):原価(もしくは価格)

 いちばんわかりやすい視点です。製品や施工に直接かかわらない間接費などは管理し難く、ないがしろにされがちですが、実は非常に重要です。また、在庫コスト(倉庫代や管理費)も意外と見落としがちなものです。わかりやすい直接費以外の費用にも、確実に視点をそそぎましょう。

D(Delivery):納期、時間

 T(Time)とすることもあります。要は時間に関する視点。納期順守を始めとして、並行作業による納期短縮や業務見直しによる時間の効率的な使い方など、いろいろな指標をもつことができます。

S(Safety):安全

 「安全第一」が示すように、建設業では最重要の視点です。(実際はCDQの次ぐらいの場合が多い。) 年千人率(労働者千人に対する労災件数)や度数率(労働時間 100万時間に対する労災件数)などの基本的な指標はもちろんのこと、安全勉強会開催件数や安全パトロール実施件数など、災害を防ぐための行動指標も大切です。

M(Morale):士気

 Motivation(動機づけ)という場合もありますが、要は人の視点で、働きがい・企業の活力などを評価することです。指標とはしては、定性的で捉えにくいのですが、アンケートなどで顧客満足度や社員満足度などを調査することが多いようです。

E(Environment):環境

 基本的には、周辺環境とくに社外環境への視点です。環境負荷をかけないようにする活動や、結果に対する指標を出します。最近は(Ecology )の単語を使い、環境保護活動や環境復元活動なども、視点の中に取り込むことがあります。

 どれも重要な視点であり、甲乙つけがたいのですが、実際には、Cが最重要視され、次にD、Qとつづき、他が後付け的な視点で見られます。バランス良くみることが業務改善として有効なのは、数多くの成功例が物語っています。自社での指標や視点を今一度見直してみましょう。

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