「見える化」の進め方(その4)

 前回、「見える化」の進み方の3つ目のステップとして、目標の設定とスケジュール(期限)の設定のお話をしました。得られた結果は

 ・目標設定によるあるべき姿の共有
 ・目標実現のための期限とスケジュール

の2点です。今日は、次のステップをお話しします。

4.根本原因の追究と対策立案

 さて、いよいよ対策を立案していきます。最初にやることは「ギャップ分析」です。つまり、現状分析で得られた「現状の姿」と目標設定で得られた「あるべき姿」を比較していく作業です。簡単なように見えますが実は結構うまくいかないことが多いのです。

 ここまで来るまでに課題の分類、グループ化も行い、目標を設定して「あるべき姿」を作ってきたのですが、作業を行っているうちに漏れや重複がどうしても発生してくるのです。単一の目標であれば重複はないと思いますが、少し関係者の多い「属人化の排除」を考える場合は、どうしても業際、つまり業務の境目とよばれる部分があいまいになっているのです。

 また、「あるべき姿」は「現状の姿」の延長線上ではありません。そのためにどの「現状」からどの「あるべき」につなげるかがわからないものもあります。これらを一つずつ確認しながら「差」を見つけるのが「ギャップ分析」です。

 「ギャップ分析」を行うことで、足りなかった「現状」や重なっていた「あるべき」がわかります。それらを補充削除する作業も行っていきます。

 ギャップ分析が終わったら、根本原因を追究していきます。対策を立てたい気持ちはよくわかりますが、ここで根本原因を追究せずに対策をたてると結局、うわべの対策しかできず、また、同じ状態に戻ったり、さらに悪い方向に行く可能性もあります。

 たとえば、ある業務の属人化を排除するといったときに、そもそもその業務手順がよかったのかどうかまでさかのぼらずに、業務を誰でもできるようにすることだけに対策の主眼を置くことがあります。「あの手順は慣れないと大変だからシステム化して簡単にしよう」といった対策です。しかし、その手順が複雑な熟練を要するものであるとするならば、結果として、複雑なシステムや分厚いマニュアルをつくることになり、新たな問題を発生させることになるのです。

 そうではなくて、そもそもその手順そのものに原因があるのではないかと考えるのです。業務はインプットとアウトプットがあって、それが実現できれば手段はどのようなものでもいいはずです。ITを含む技術が日進月歩している中で既存の業務手順だけが選択肢ではないはずです。根本原因を探るときに「○○ありき」にならないようにしましょう。

 よく根本原因を探る際に「なぜ」を5回ぐらいやればいいというお話があります。しかし、現実にはとてもそこまで考えが及びません。1日の会議で出し切るのは難しいので「なぜ」を3回ぐらいまでやったら、1日おいて、残りの2回をやるとか、いくつかの「なぜ」を並行してやりながら、なぜを見比べるとかすることで見出していくなどの工夫をすることをおすすめします。

 ただし、根本原因を追究するさいもやりすぎには注意してください。期限やスケジュールが決まっている以上、ある程度の見切りは必要です。

 ギャップ分析ができ、根本原因も見えてくれば、対策立案はさほど難しくないはずです。そして、最初に漠然と考えていた対策とは違うものが出てくることに驚くことでしょう。手順をおってたてた対策と思い付きで立てた対策はその後の結果に大きく差がでます。

 手間を惜しまず、苦労して作った対策は必ず大きな実を結ぶと思います。がんばりましょう。

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