原価管理の基本

 ちょっと前に原価管理について施工段階ごとでのポイントをお話ししました。今回は少しそれよりさかのぼってそもそも原価管理を行うための基本的な考え方を何回かに分けてお話しします。

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、1962年に大蔵省企業会計審議会が作成した原価計算基準というものがあります。サービス業的にはちょっとどうかなというところもありますが、製造業や建設業ではそれなりに利用できる基準だと思います。ちなみにこの基準、私の知る限りではもう40年近く改訂されていないようです。話が脱線しましたが、この基準に書かれている話を参考にお話ししていきます。最初は原価算定の目的です。

1.原価算定の目的

(1) 財務諸表を作成するため(税金を納めるため)

 企業が税金を納めるにあたって必要なものとして財務諸表があります。もちろん、株主や銀行等の債権者に対しての経営状況を金額で表現したものとしても財務諸表は有効です。その財務諸表を作成するためには製造原価や工事原価のような原価把握は必要不可欠です。

(2) 販売価格・工事価格を決定するため

 企業は営利団体です。そのために一定の利益を確保する必要があります。かかった原価を把握し、利益を載せて希望価格を算出することは企業がその活動を維持していくうえで必要です。別の言い方をすると原価を把握せずに売値を決めている限りは赤字が続いてもしょうがないということです。赤字の原因が原価の未把握といった例は多くあります。マーケットインという言葉に代表されるように購入者が売価を決定することはすることは少なくありませんが、だからといって原価を把握しなくてもよいということではないのだということを理解しましょう。世の中が認めてくれる売価から逆算して原価を求め、実際原価と比較することも重要なのです。

(3) 生産効率・施工効率向上や原価低減のため

 基本的に効率UPやコストダウンを行うためにはそのもとになる基準原価が必要となります。基準もないのに下がった上がったなど判断できるわけがないからです。(でも、結構基準なしで取り組もうとしている企業は少なくない)その基準原価を求めるために算定する必要があります。企業活動を金額で表現する、業務をお金で表すことのひとつが原価算定だということです。

(4) 予算管理をするため

 予算とは一定期間に企業が行う活動を金銭的に換算したものです。以前もお話ししたように実行予算は詳細な施工計画であるように予算も経営計画・部門計画の金銭的な表現方法だということです。予算管理ができない、もしくはない企業は効率向上など夢また夢なのはいうまでもありません。その予算を決めるためには過去の実績や今後の展開を踏まえた判断が必要になります。ここでいう過去の実績の中に含まれているのが原価なのです。

(5) 経営戦略策定のため

 経営戦略策定には必ず財務指標として、金銭的目標を設定する必要があります。多くの経営戦略は企業の拡大・新事業など新たな融資を必要とする案件が含まれています。融資を金融機関等から獲得するためには過去の健全さもさることながら、その拡大・新事業の収益性を示すことが重要です。収益は売上だけではもちろん成立しません。原価が必要となるのはそのためです。計画なくして発展はないということは、原価なくして発展はないということです。

 内容的には少しかぶっているようなものもありますが、大切なのは原価算定なしに企業活動はなりたたないといっても過言ではないくらい重要な業務だという認識をもってもらいたいです。

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