現場でのタブレット端末活用(その2)

 前回に続き、現場でのタブレット端末活用のポイントについてお話しします。

前回は

(1) パソコンの代わりにしない
(2) タブレットの得意分野に目的を絞る

の2点についてお話ししました。今回ははじめ方での注意点です。

(3) 小さく始める

 これはどのITシステムでもいえることですが、いきなり大々的にはじめると不具合や操作教育などで支障がでます。

 まずは特定のメンバーで特定の機能から使い始めて徐々に内容やメンバーを広げていくことが大切です。

 特にタブレット端末は操作が容易だといわれていますが、画面を直接触ることや独特の指操作に対して少しパソコンを知っている人は戸惑うこともあります。また、高性能のパソコンと同様のことができるような思い込みをもって操作しようという人も少なくありません。

 初期メンバーの中にはできるだけ様々なITリテラシーのレベルの人を入れることで問題点や気づきを得られるようにすることがおすすめです。最低でも得手と不得手の方を一人ずつ入れてタブレット端末ならではの課題を早めに見つけることをおすすめします。

(4) 業務規則や体制の変更も忘れずに

 タブレット端末をどのように使うか次第ですが、業務規則も変わることを忘れずにいてください。

 以前であれば、事務所に帰社後入力していた業務がタブレットで不要になったのであれば、帰社そのものを不要とすることや本人の直接入力で転記業務や承認業務等がなくなった場合には速やかにその不要な業務をなくすことなどを規則として決める必要があります。

 よく考えると当たり前のことですが業務手順や規則をそのままでタブレット端末を使用しようとしている話も聞きます。利用することで何が変わるのかをよく考え、業務分掌、体制や社内規則も含めて準備を進めるようにしましょう。

(5) 遊びも取り入れる

 これはタブレット端末ならではのポイントになりますが、(3) で話したように操作性やソフトにパソコンとは違う独特なものがあります。

 その独特な操作の習得が一番早い方法は業務外のアプリを導入していろいろ試してもらうことです。業務用アプリはどうしても間違えないように入力するとか余計な操作とかしないようにと意識してしまい、思ったように使えないことがあります。

 そこで気軽にさわれるゲームや地図、料理等業務外のアプリをいくつか導入しておき、習得のために操作できるようにするのです。

 これなら、気軽に操作できますし、何より楽しいので意外と長くさわっていても問題ありません。ただし、タブレット端末でアプリ導入を開放することで自由にアプリを入れてもらうことについては注意が必要です。iPadに代表されるiOSのものは今のところ問題があまりないようですが、Androidタブレットのアプリはウィルスが入ったものも見つかっており、むやみに導入するのは危険です。

 できれば、会社推奨のアプリを決めておき、それ以外は導入しないようにすることをおすすめします。

 若い方はご存じないと思いますが、このような取組は実は20年ほど前にも行っていました。それはMS-DOSからWindowsに切り替わるときキーボードしかさわっていなかった人にマウス操作を覚えてもらうために、Windows標準ゲームのソリティアのようなもので操作を習得してもらっていたのです。たぶん、今50代以降の方ならソリティアやマインスイーパーを操作した記憶があると思います。

 新しいIT環境を取り込むためにはこのような業務外の側面から学んでもらうことも重要だというのは今も昔も変わりませんね。

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