Office2003からの乗換(その2)

 前回に引き続き、Office2003からの乗換についてお話しします。今回は、Microsoft Office以外への乗換です。

 多くの方はOffice2003がサポートされなくなったからには次はOffice2010かOffice2013に乗り換えるしかないだろうと思われますが実は他の選択肢もあります。

 その一つがLibreOfficeというソフトです。このソフトの名前はあまり聞いたことがない人が多いと思いますが、このソフトは元々OpenOfficeというソフトから派生したものです。

 OpenOfficeは2000年に無料ソフトとして公開されて以来、様々な企業や自治体で利用されてきました。私も7年前にこのソフトの紹介(第91号)をしています。当初はサンマイクロシステムズという会社が管理していました。2010年にオラクルに買収され、管理体制が変わったために、メンバーの一部が別組織をつくり、このLibre Officeをつくりました。

 ちなみにOpenOfficeは、Webサーバーソフトで有名なApacheソフトウェア財団に2011年に提供され、現在はApache OpenOfficeと名前を変えて提供されています。また、こちらにはLotus Symphonyと呼ばれるIBMの無償オフィスソフトが合流することになっており、今後が楽しみな状態になっています。

 少し話しがそれましたが、現在、無償でMicrosoftのオフィスデータを編集できる中で一番評価が高いのがこのLibreOfficeなのです。

 もちろん、完全に互換性があるわけではないので、書式にこだわる書類や得意先への提出書類に関しては注意が必要(特にワードの表は要注意)ですが、社内書類のように書式を変更しても問題ないものであれば、すぐに使えると思います。

 もう一つの魅力として、ツールバーが標準であるということです。Office2007以降のリボンにどうしてもなじめないという方にはOffice2003と同様のツールバーとメニューという形式は魅力です。

 また、エクセルでよく使われているマクロも取り込めます。使うためには少し修正が必要ですが、一部のマクロはそのままでも動くようです。マクロが動かないから使わなかったという企業でも乗換を検討できるレベルになってきています。

 また、以前紹介した時と同様ですが、無償でありながら、ワープロ、表計算はもちろん、プレゼンテーションソフトもデータベースソフトまでついています。プレゼンテーションソフトはマイクロソフトのパワーポイントファイルを読み書きできますので、過去の資産をそのまま使えます。すごいのはOffice2003までの標準形式である(.doc.xls.ppt)だけでなく、Office2007形式である(.docx.xlsx.pptx)まで読み書きできることです。細かい部分(アニメーション等)では互換性がないところもあるようですが、機能はあるので設定しなおすことである程度までカバーできます。

 なお、ソフト名は表計算がCalc、ワープロがWriter、プレゼソフトがImpress、データベースがBaseといいます。これ以外に、図形描画ソフトのDrawと数式エディタMathがついています。

 では、具体的にどのようなケースで導入したらいいでしょうか。

 例えば、購入したパソコンにOffice Personal2013は入っていたのだが、これだとエクセルとワードしか使えないためにパワーポイントだけを追加したいといった場合にLibreOfficeを導入するという選択肢はアリだと思います。これならば、一般的に他企業や発注者とやりとりするデータはエクセルやワードなので問題なく、安全協議会や近隣への説明、発注者への検査報告などに使うプレゼ用資料をLibreOfficeにはいっているImpressで作成すればOKです。

 また、工場や小売店、小規模な現場で統括事務所がある場合など直接、他の方にあまり書式にこだわったデータを渡すことがない場所にあるパソコンなら、最初からLibreOfficeだけにするという選択肢もあります。

 特にWindowsがVistaや7の場合は、パソコン自体は更新する必要がないためにOfficeだけを入れ替えたいのであれば、その用途が社内に限定されるか社外でもそう書式の込み入ったものをやりとりしないのであれば、十分に検討の価値があると思います。

 比較的低価格なKingSoft Officeや見た目がかなりOffice2003と近く、ワープロソフト一太郎もついてくるJustOfficeという選択肢もありますが、どちらも有料です。

 全面導入という形は他企業とのデータのやりとりから難しいとは思いますが、部分的導入は可能だと思います。特にパソコン自体が古くないけど、Office2003を使っていたという場合にはその用途を精査することでLibreOfficeの導入は有効ではないでしょうか。

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