在庫管理(その8)

 前回に引き続き、在庫管理についてお話をします。今回は在庫品の発注方式についてです。

 在庫品の発注方式にはいろいろありますが、発注量と発注時期の組合せで考える4つの基本があります。

(1) 定期(不定量)発注方式

 発注量はその都度違うが、必要数量を定期的に発注する方式です。発注量が毎回異なるために需要予測が重要になります。また、発注期間は、最大保有できる在庫量や注文から納品までの調達期間を考慮して決める必要があります。

 毎回発注量を計算するので、大変ですが使用量の変化が大きいものや価格的に高いもの、大量購入するものなど、主要材料を発注するときによく使う方式です。

 需要予測の精度によりけりですが、発注期間は比較的長くすることができます。発注回数は減らすことができる反面、計算を含む処理が大変です。

(2) (不定期)定量発注方式

 発注点と呼ばれる在庫量より少なくなると決められた量を発注する方式です。使う量が変動する分、発注時期が変化します。発注量は最大保有できる在庫量や注文から納品までの調達期間に使う日平均需要量を考慮して決める必要があります。

 発注は毎回定量ですので、計算は不要です。ただし、発注期間が不定期なので、発注点に近づいたら注意が必要です。比較的安価で使用量の変化が少なく、できれば大量購入しないなど、副資材を発注するときによく使う方式です。

 なくなれば頼む形式なので、需要予測の精度ははあまり要りませんが、調達期間が短いものでないと安全在庫(不測の事態に備えた在庫)を多く持つことになります。計算は不要なので手配は楽ですが、発注回数は多くなります。箱、袋といったロット単位で購入することで割安に入手することを考えます。

(3) 不定量不定期発注方式

 必要な発注量を毎回算定し、必要な時期を踏まえて発注する方式です。特注部品のようなあまり使わない材料に対して使う方式です。

 上記の2つの方式に比べると対象材料は少なくなると思いますが、調達期間も長くなる傾向があるため、対象材料を利用する時期を少しでも早く把握できるようにすることや図面から対象材料をすばやく見つけ出す仕組みづくりが大切になります。

(4) 定量定期発注方式

 決められた発注量を定期的に発注する方式です。必ず一定量を一定期間で消費する材料の発注用となりますが、他の方式に比べるとあまり多くはないと思います。

 上記の4つが代表的ですが、ほかにも以下のような発注方式があります。

(a) 預託方式

 使用して初めて費用が発生し、その量は基本的に受注側が調整する方式です。代表的な例として、富山の薬売りがありますが、それを一般材料でも適用した方式です。

(b) ダブルビン方式

 2つの容器や箱を用意して、片方がなくなったら発注する方式です。(不定期)定量発注の亜流といった感じですが、見た目でわかるので管理が容易な反面、残りの半分がなくなる前に注文から納品が完了する必要があるため、調達しやすい材料にしないと在庫量が多くなります。

 大切なのは、どの方式を選ぶにしても、方式ごとに留意すべき点があり、在庫を多く持たないようにするためには利用量の把握や迅速な発注、定期的な在庫の見直しなどを行う必要があるということです。

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