在庫低減(その3)

 今回も在庫低減のお話しをしていきます。今回は在庫削減を実現するための視点についてです。

 前回までに不要在庫として考える在庫改善対象を見つけることをお話ししました。前回の改善対象を見つける際にも少しお話ししましたが、今回はその在庫改善対象を削減するために検討すべき視点についてです。

(1) 生産(もしくは購入)計画面

 まずは入庫側から考えます。必要分が確定してから手配して入手するのであれば何の問題もありませんが多くの場合は生産時間もしくは調達時間とよばれる期間を待てないために予測して入手します。

 特に定期的にそれなりの量を必要とするものは計画を立てて生産もしくは購入を先行して行います。この際に問題になるのが予測誤差が大きいことです。

 急な天候の変化や相手先の都合などやむを得ない場合もありますが需要予測があいまい(古い実績だけで推測、周辺動向も未確認)な場合も少なくありません。この予測誤差を小さくするために予測方法をどう改善するか検討することが必要です。

 また、計画をせっかく立てても変更が多く、計画の信頼性が失われるだけでなく、結果的に現場に混乱や不満をもたらせることになることがあります。

 需要側への対策が有効ですが、計画策定そのものを見直すことが必要な場合もあります。策定に時間がかかり、月単位でしか立案していないものは策定方法を容易にできる方法を検討し、週単位での立案をできるようにすることも視野に入れる必要があります。

(2) 調達面

 調達に関しては、一番大きい要因は、納期が一定でなかったり、こちらの都合で当初の予定数量を分納つまり、一部だけを先行納入させることによる入庫手続きのミス誘発があります。

 納期は余裕があるほうが望ましいですが、相手先との綿密な連絡である程度短縮することができることもあります。また、数量は面倒でもまとめて記載するのではなく、時期が異なる必要量は分けて明示することが大切です。

 もちろん、調達時間が長いものは直前に相手先の担当者に確認することやもし数量が違う、納期遅延等のミスが発生した場合に再発防止を受発注者双方で検討し、速やかに対策を実施する等の仕組みも必要です。要は納入管理をどうすべきか検討する視点を持つことです。

 もう一つ大きな要因としては、ロットつまり調達単位がこちらと異なる場合です。10個単位で必要なものが 100個単位でしか入手できない場合、何も考えずに100個単位で調達すると無駄な在庫を抱えるのはいうまでもありません。

 前回は一括調達の仕組みの話もしましたが、小分けしてくれる相談をすることや別の調達先を探すということも検討する必要があります。どうしても長年のお付き合いで難しい場合もあるとは思いますが意外と思い込みでなんとなく取引しているケースもあります。社長のご指名だと思ったとか、ここしか購入できないと決めつけていたといった笑えない話が本当にあります。最近はネットでもかなり専門的な特殊なものを入手することができます。調達方法は最低でも1年に1回は見直す視点を持ちましょう。

 また、使う側の状況もきちんと把握しておく必要があります。現場で不足すると困るからと各現場で少し余分目に依頼している数量が積みあがって中途半端な数量になっている場合もあるからです。この辺りは使用量調査をすればすぐにわかりますが、なかなかできないのが実情です。前回お話しした改善対象の中で特に問題を感じるものから始めると効果が見えて取り組みやすいと思います。予備を持たないことは不安になりますが、先ほどの納入管理がしっかりできていればそのあたりも払しょくできます。

 今回の話は在庫から少し離れていますが在庫低減の実現には必要な視点だと思います。

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