在庫低減(その4)

 今回も在庫低減のお話しをしていきます。今回も在庫削減を実現するための視点についてです。

 前回は在庫改善対象を削減するために検討すべき視点で計画面と調達面でのお話しをしましたが、今回は物流面と出荷面です。

(3) 物流面

 物流は大きく外部物流と内部物流に分かれます。外部は調達した材料や製品を自社に搬入・搬出することで、内部は自社内の倉庫内や倉庫間での搬入・搬出です。

 外部物流の搬入は調達面で検討すべきものと重複するかもしれません。宅配便のような選択肢がない場合は別にして、専用便で搬入される場合、その便の輸送能力具体的には10tなのか4tなのかといった積載重量を考慮することで無駄な空積みなく搬入することができます。

 もちろん、これは小ロットでの調達と連動することです。小ロットで調達しているにもかかわらず輸送費が下がっていないことがたまにありますが、この外部物流のコスト検討を相手先をしていないことが多いようです。また、同業他社と組んで、合積みによる対応も検討すべき項目だと思います。

 これは現場への搬出も同様です。複数現場へ同一製品を搬出するにもかかわらず、それぞれ別便で搬出していることがあります。利便性は高いかもしれませんがコスト的には問題です。必要なタイミングが同一でない限りスケジュールを組んで巡回していくことが望ましいです。在庫ではないですが、重機の搬送も同様に搬入、搬出をうまく組み合わせることでコストダウンが図れることがあります。

 内部物流は同じ材料・製品があちらこちらに分散しているために無駄に搬送しているようなことがないかを確認します。入口に近いところや倉庫環境がいいところ等に一時的という名の下で部分最適な配置をしていると分散が発生します。配置ルールを決めることで倉庫空間を有効利用するだけでなく、集めることで管理負担も軽減できます。外部からの搬入時は手間が増えるかもしれませんが、内部での移動コストもなくなります。

 倉庫形状によっては難しいかもしれませんが、適切な幅の通路確保も重要です。仮置きや空き箱等で通路がふさがれるだけでなく、幅が狭いことで搬入機器が中に入れないために倉庫奥が有効活用されていない場合も少なくありません。倉庫に入る物理的な量は通路部分を除いて設定し、その物量内で処理することが大切です。

(4) 出荷面

 出荷で一番苦労している部分はたぶん、ピッキング(取り出し)作業です。よく利用する材料・製品であれば比較的固定した位置にあるので問題は少ないと思いますが、利用頻度の低いものを探し出して出荷する際にその位置を把握することに一苦労していることがよくあります。

 固定位置が理想ですが、いつもあるわけではないので空間の有効活用のため固定できないのが普通です。結果としてどこに何が置いてあるかの位置管理をきちんとすることが重要で、倉庫内の空間座標つまり、通路番号、左右、棚番号といった基準と入荷時の記録ができる仕組みが必要となります。これは規模が小さくても種類が多い倉庫を管理する場合は必須だと思います。

 もう一つ苦労することが数量です。必要数量をすばやく確認できる仕組みとして一番有効なのはロット単位つまり箱単位での取り出しを原則とし、端数部分だけをきちんと確認する方法です。簡単なように見えますが、ついつい箱単位で搬出し、端数の箱をきちんと処理せずに戻すために放置している結果無駄な在庫を抱えたり、搬出に余計な時間がかかったりします。特に釘やボルト・ナットのような小物は決して安くはないのですがおろそかにされがちです。

 定期的な棚卸で数量を確認するだけでなく、端数処理も行っておくことが最終的には在庫低減につながります。

 なお、出荷面で問題のきっかけを作るのは急な出荷です。計画面でも少し話しましたが、情報を早く入手して変更の少ない入出荷業務ができる環境づくりも忘れないようにしてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする