営業管理

今回から営業管理についてお話しします。今回は建設業の営業の概要からお話しします。

建設業の営業は公共工事と民間工事では大きく異なります。

・公共工事の営業

公共工事は基本的には工事情報が事前に公示され、入札要件に従って工事金額を提示し、予定価格内の最低価格が落札できます。ただし、最低制限価格が設定されている場合はその金額以下でも失格になるため、注意が必要です。以前は入札会場に行って金額を記入した札を箱に入れていましたが、今は電子入札なので、事務所にいて、金額を入力するだけです。

入札形式は一定の資格さえあればだれでもOKの一般競争入札と発注者が指名した企業の中から決める指名競争入札があります。一般的には大きな工事ほど公共性が高いため、一般競争入札となり、地域性が高くなる小規模工事は指名競争入札になります。

また、技術提案による評価も加えて入札を行う場合もあります。入札時に技術提案を行うVE方式や設計まで一体にする設計・施工一括発注方式、金額以外の工期・機能等の評価も行う総合評価落札方式などがあります。

入札情報は電子入札の浸透により、ほぼインターネット上の特定のサイトに掲載されるようになりました。最近では情報を収集して特定の地域の特定分野の工事の入札情報だけを提供するサービスもあります。また、談合等の問題から発注機関への営業の訪問はほとんどできなくなっています。

「えっと、これって営業活動できるの?」と思われる方もいるかもしれません。確かに入札時にはできませんが、着工後、現場に来る担当に追加工事や変更工事を交渉する営業や竣工後の挨拶を通して行う関連工事に対する営業はできます。また、入札要件に対する社内情報(資格保有者・経験者)の整備、技術提案の内容把握と適切な人員確保、電子入札への対応など、社内で行う活動は以前よりかなり多くなっています。まさに情報戦になっているのが今の公共工事の営業です。

・民間工事の営業

民間工事の営業は大きく企業向けと個人向けで異なります。

企業向けの場合は企業規模が大きいと入札となることが多いため、公共工事に準じた活動が必要になってきます。企業規模が大きくない場合は、特命工事と呼ばれる競争のない指名か見積合わせと呼ばれる見積書を複数の建設業者から集めて決めるケースが多いです。

後者の場合は、担当者やその上職者との親密度が非常に大きく影響してくるので訪問営業が特に重要になってきます。前者の場合でも訪問営業は重要ですが、企業によっては建設業者との過度な接触を禁止している場合もあるので注意が必要です。御用聞きといった感じで担当者もしくは担当部署に定期的に訪問し、情報収集だけでなく、有用な情報提供を行えることがポイントです。

個人向けの場合は、個人に対する契約になるので、展示会やイベント等での販促活動や各種メディアを使った広告活動も必要になってきます。

もちろん、営業活動として、訪問営業もありますが、最近は飛び込み営業に関しては嫌悪感を持つ方が多いので、販促活動や広告活動で顧客から電話やメールの問い合わせといったアクションを起こしてもらった後に動くことが多いようです。また、ネットの普及で口コミの影響力も非常に大きいため、以前よりも顧客に対するケアが重要になっています。

概要としてざっくりお話ししましたが、公共工事でも民間工事でも自社の公式サイトでの情報掲載は非常に重要になってきています。詳細はまた別の機会にお話ししますが、SNSなどのソーシャルメディアへの対応も必要です。結果として、電子入札や顧客情報管理、社内の人材(資格・経験)管理、各種データ管理など一昔前より多くのITシステムを使いこなす必要があり、話術だけでは受注が難しい時代になってきています。

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