公式サイト構築(再構築)(その3)

前回に引き続き、自社の公式サイト構築に関するお話をします。今回も公式サイトの目的とその内容です。

前回は一般的な公式サイトの役割として3つの内容を紹介しました。

(1) ブランド・企業価値向上
(2) リード(見込み案件)獲得・問合せ
(3) ダイレクトレスポンス向上

これ以外にも

(4) 既存顧客のロイヤリティー(忠誠心)向上

といった目的もあります。こちらは商品・サービスのリピート利用(再購入)や購入サービス以外のサービスを利用してもらうことを目指すものです。会員制度を利用した割引等の特典による顧客の囲い込みなどがよくある手法で会員サイトを構築することが多いです。

建設業だとリフォームでトイレの次やお風呂、その次は台所といった水回りだけでも複数回の利用が見込まれますが、意図的に情報を提供しているサイトは意外と少ないように感じます。

新築でも5年後、10年後といった単位でアフターサービスに伴う修繕もしくは改築需要はありますが、このあたりもまだまだサービスが不足しているように感じます。

少し建設業の視点で目的を加えると以下の4つがあります。

(a) 発注者(顧客)への実績・技術力アピール・対応窓口

施工実績で単なる場所や発注者だけでなく、規模や工事難易度を記載したり、自社保有技術はもちろん、資格保有者や経験年数による社員能力のアピールをすることで次の案件受注や間接的な営業支援を目的にすることもあります。対応窓口を明確にすることで営業時間外での対応を円滑に進める仕組みも公式サイトならではの仕組みだと思います。

特に元請ではなく、下請中心の企業であれば、どの発注者からどの程度の工事を受注したかは他の元請企業でも契約時の参考にすると思います。公開できる範囲は限られていても可能な限り情報提供することが望ましいと思います。

(b) 地域住民・マスコミへの情報提供

建設業は多くの地域住民に影響を与える産業です。その点でも工事に関するある程度の情報は公開を行い安心感を与える必要があります。道路使用による通行障害の情報提供、騒音振動が大きくなる期間の案内などは積極的に行うべきですが言われたら対応するといった消極的な動きが現状です。

現場周辺だけでならば、町内会の回覧板や現場での掲示物でも対応可能ですが、通行制限に関しては公式サイトを通した情報提供は非常に有効だと思います。

一部の公共機関では地図による情報提供を行っていますが、まだ全国すべてという状態ではありません。公式サイトで工事進捗を公開している企業であれば、ぜひもう一歩広い視点(進捗という過去ではなく予定という未来)での情報提供を検討してください。

(c) 自社社員・社員家族・株主・金融機関への安心感提供

この目的は、少し規模の大きな建設会社向けになると思いますが、会社方針はもちろん、新規事業や年度目標といった内容をわかりやすく情報提供することは社員はもちろん、家族や株主、金融機関への安心感へつながります。内容によっては会員サイトのように特定の人間しか閲覧できないようなページでの提供してもいいですが、いつでも見たいときに見たい場所で閲覧できることが重要です。

もちろん、単年度でなく、複数年度つまり、過去数年以上はさかのぼれるようにしておくことが望ましいです。売上高などは表示したくない場合もあるかもしれませんが、公共工事で経営審査事項を受審している企業は公開されているので非表示する意味はあまりありません。こういう情勢だからこういうことを行っていく姿勢を示すことは金融機関等の心象にもプラスに働くと思います。

(d) 求職者への認知度向上

求人募集をサイトに掲載している企業は多く見かけますが、実際のお仕事の紹介までしているところは少ないです。建設業は一部の業種ののぞき、天候に左右される仕事です。そして、雨天でも屋外で仕事をする必要があります。

当たり前のことですが、意外と認知されずに入社希望としてこられる方も少なくないようです。また、残念ながら長時間労働がなかなか是正できていない業界でもあります。もちろん、社会貢献度は非常に高く、家族に自慢できる職業だと思っていますがこちらもなかなか認知度が低いようです。

これらのことを企業側から積極的に情報提供したらよいのですがどうしても、「入ったらわかることだから」といった感じで提供が少ない気がします。会社の認知度向上だけでなく、建設業そのものの認知度向上も意識した丁寧な情報提供は認知度向上だけでなく、会社への信頼度向上にもつながると考えます。社員の声を中心に、協力業者の声や発注者の声、さらには周辺住民の声なども求職者へのアピールになるのと思いますよ。

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