経営改善と業務改善(その3)

前回に引き続き、経営改善と業務改善についてお話します。

前回は経営改善しかできない点を中心にお話をしました。今回は経営改善と業務改善の連動についてお話をしていきます。

業務改善が業務ありきで手順の改善を進め、経営改善はその業務そのものの必要性、担当、基準そのものにも手を付けることができること、業務改善がボトムアップでの活動に対し、経営改善はトップダウンでの活動をお話ししました。

当然、改善成果を最大限にするには経営改善と業務改善の連動が必要となります。そのためには、経営改善で掲げる大きな改善目標が業務改善で掲げる小さな改善目標とつながりを持たせることがポイントになります。

そのための手法としてバランススコアカードの戦略マップというものがあります。これは、財務の視点、顧客の視点、業務手順の視点、学習と成長の視点の4つの視点から経営改善での目標と業務改善での目標の関係性を確認する手法です。

レイアウトは4つの視点を4行の枠にして、上から財務、顧客、業務手順、学習と成長にして、各目標を4つに分けます。例をあげると

財務の視点:利益向上、売上拡大、費用削減、借金削減、設備更新
顧客の視点:新規顧客開拓、既存顧客の顧客内シェア拡大、顧客満足度向上、クレーム削減
業務の視点:生産性向上、在庫削減、品質向上、安全性確保や営業力強化
学習の視点:人材開発、新規雇用、教育体制強化、評価基準策定

といったものが入ります。経営改善の目標は主に財務・業務の視点、業務改善の目標は業務・学習の視点に記載されます。

ここで財務の視点で売上拡大といったときに新規顧客を増やすのか既存顧客からより多くの売上を確保するのかで業務改善の方向性が変わります。逆に生産性向上は費用削減に寄与しますが、売上拡大には結びつきづらいです。余剰人員を営業力に振り分けるとか、新製品開発を行うといった形にしないとつながらないことがわかります。つまり、経営改善と業務改善がうまく連動しない場合は大抵このつながりが分断されていることが多いのです。

つながりがないということは目標にすべき項目が欠けていると考えてください。先ほどの例とでいうと売上拡大と生産性向上をつなげるためには新製品開発や営業力強化といった目標が必要だということです。

また、学習と成長の視点に記載されるだろう新規雇用や評価基準策定は業務改善だけでは難しく、経営改善と一体で考える必要があります。最近だと働き方改革で学習と成長にこの中に就業規則の見直しや有給休暇取得率の向上といった記載も必要になってきますが、これらは経営改善側の目標となります。

業務改善の基本は業務に含まれる「ムリ・ムダ・ムラ」をなくしていくことです。このうち、「ムリ・ムラ」は改善対象にしやすいのですが「ムダ」は業務そのものが不必要になるため対象にしにくい場合があります。このときに経営改善として「改善対象に聖域なし」として、現状にあってない業務の削減を目標に明示することでより有効な業務改善になります。

さらに経営改善と業務改善を効果的にするには業務情報を円滑に効率的に流していくことが重要です。できれば、どこでも誰でも見ることができるのが望ましいです。そのためには、IT利活用が不可欠になっています。しかし、記載があちらこちらに分散しているとシステム開発やサービス導入といったものが見えづらくなることから上記の4つの視点と別枠でIT利活用の視点といった行を追加する場合も出てきています。

基準や分掌(役割分担)の改善と手順・教育(特にOJT)の改善が連動していくことで全体としての一体感があり、納得感の高い改善を進めることができます。改善の方向性がバラバラだったり、一体感を感じなかったりするときは目標を戦略マップにマッピングしてみることをお勧めします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする