建設系資格について(その9)

今回も建設系資格について紹介します。

前回は公的資格について、「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」いわゆる国土交通省登録資格や経営審査事項等で評価点になる公的資格を中心にご紹介しました。今回も引き続き、公的資格について紹介します。

まずは、最近ニーズが高まっている点検・診断業務に活用されている資格です。日本鋼構造協会が認定している土木鋼構造診断士、日本構造物診断技術協会が認定しる構造物診断士、日本コンクリート工学会のコンクリート診断士等があります。これらは国土交通省登録資格になっています。

特にこの中でコンクリート診断士は、人気が高く、実務者が役に立っている資格として評価されています。受験資格は技術士やコンクリート技士、1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士等を取得し、登録しているか、コンクリート技術に関して所定の実務経験を有しているかが条件で、コンクリート診断士講習会(現在はe-ラーニング)を受講することが必須になっています。

今後、土木系を中心に需要が高まっていくと思います。耐震や補強とった工事はもちろん、公共構造物の保守点検にも活かすことができる資格です。新築構造物でも、診断知識を有効に活用できますので、建築でも有用だと思います。

次は、調査系で比較的認知度の高い資格に地質調査技士があります。こちらも、国土交通省登録資格になっています。一般社団法人全国地質調査業協会連合会が認定しており、昭和41年からある資格制度です。現場調査部門、現場技術・管理部門、土壌・地下水汚染部門の3つに分かれており、受験資格としてはそれぞれの実務内容で所定の期間携わったことがある人に限定されています。ただし、大学や専門学校によっては実務期間が短縮されます。

地質に関連する仕事(ボーリング、土質試験、地質調査)はもちろんのこと、造成やトンネル、橋梁基礎など土木で土と密接な関係のある設計・施工に携わっている人であれば、身につけておくと役立つことが多いと思います。なお、資格有効期間が5年となっており、他の更新型の資格同様、CPD(継続教育)を報告するか講習会の受講が更新のために必要です。

最近、ちょくちょく話が出てくる資格として、環境アセスメント士があります。こちらも国土交通省登録資格になっており、環境アセスメントに関わる評価法や都道府県等の評価条例を踏まえた環境調査、環境影響評価図書の作成に役立つ資格です。

特に、事業計画後の環境アセスメントだけでなく、事業計画前の段階から利用する戦略的環境アセスメントの実施に際しても有用とされており、大気・水・土壌・生態系だけでなく、景観や廃棄物等まで事業が環境に影響を与えるすべての事象に対して影響評価を行う場で活躍が期待されています。

今回の最後は福祉住環境コーディネーターです。こちらは東京商工会議所が認定する公的資格です。商工会議所といえば、簿記検定やビジネス実務法務、販売士等が有名ですが、カラーコーディネーターやメンタルヘルス・マネジメント検定も認定しています。

福祉住環境コーディネーターは高齢者や障碍者の住みよい環境づくりのアドバイザーとして、住宅営業や新築・リフォーム時のバリアフリー対策といった際に活躍します。住宅設備はもちろん、福祉用具や各種施策に関する知識が求められます。1級から3級までありますが、1級以外は受験資格はなく、1級は2級合格者が対象です。

福祉住環境コーディネーターは住宅建築に関することが主になっていますが、他の建築物や土木構造物でも人がかかわる部分について、その知識は有用です。また、営業所や現場事務所でも福祉住環境コーディネーターの知識を利用して、レイアウトや構造に配慮すると、すべての人が使いやすい、いわゆるユニバーサルデザインを意識した場所づくりができると思います。

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