IT戦略フェーズとは

このフェーズの目的は、経営戦略を支援するための情報化実行計画を策定することにあります。

上記作業と併行して、ITの有効利用を促進するために企業のIT評価を行い、IT成熟度を考慮したIT化のベースライン(どこまでをITによって実現するか)を策定します。気をつけなければいけないのはIT化の目標はあくまで経営戦略と歩調がとれてなければならないということです。歩調をとらずに最高のものを求めるようなことをするといつのまにか道具であるべきITが目標になってしまうので注意してください。そのために経営戦略策定フェーズと同様にIT分野における会社の内部環境、外部環境を評価し、会社の現状をきちんと把握することが重要です。

次に対象となる業務をDFD(Data Flow Diagram:データフロー図),ERD(Entity Relationship Diagram:実体関連図),UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)等の手法を用いて、経営言語(ユーザーの専門用語)から情報言語(ITベンダーの専門用語)への変換を行います。従来、これらの作業はITベンダーにお任せの部分が多かったのですが、自社の業務プロセスを明確にし、求めるシステムを間違いないものにするためにはユーザー自らがその作業を行う必要があります。ここがユーザーとしては最大の難所になります。しかし、この作業を行うことによってITベンダーを自分の目できちんと評価できるようになりますし、業務プロセスの可視化により無駄な手順の発見・削除や合理化を容易にし、後継者への引継ぎが楽になるというようなメリットがあります。

次に達成目標や新業務のイメージ、そのためのIT環境を踏まえ、推進組織や開発・運用方針、開発期間、概算費用等を出します。スケジュール(期間)・コスト(費用)・スコープ(適用範囲)のバランスをとるのはとても重要です。複数年計画を立て、優先順位をしっかりと定めてまとめていく必要があります。これが「IT戦略企画書」となります。

最後に「IT戦略企画書」を具体的に実行できるようにするため、改革・ITサービス・セキュリティ&リスク・IT導入等の方針を策定し「IT戦略実行計画書」としてまとめます。