最近はセキュリティソフトをインストールしていないパソコンはほとんど見られなくなりましたが、意味がよく分かっていない方は少なくないようです。よく聞かれることですが、「セキュリティソフト=ウィルス対策ソフト」ではありません。確かにウィルス対策が一番重要視される機能ではありますが、その他の機能も重要度がましてきています。今回は統合セキュリティソフトの主な5つの機能についてお話します。
1.ウィルス対策、スパイウェア対策
一番重要な機能といわれているのがこのウィルス対策、スパイウェア対策です。ウィルスとスパイウェアの違いはいくつかありますが、一番の大きな違いは自己増殖すなわち感染するかしないかです。具体的に言うと、ウィルスはこちらの意思に関係なくパソコンに感染しさらなる感染を促す準備をします。それに対して、スパイウェアは、何らかの承諾を得て、パソコンにインストールされます。広告のふりやチェックソフトのフリをしているなど、決して正しい承諾方法ではありませんが、何らかの承諾作業をユーザーがしています。そのため、次のパソコンに感染するようなことはありません。また、スパイウェアは、パソコン内の情報収集が主な目的であるために多少不具合が出る場合もありますが大抵はひっそりと動き、何らかの破壊行動をするウィルスに比べて見つかりにくいです。結果として、勝手に入るウィルスと違い、除去が困難になります。なぜならば、承諾した以上ユーザーが意図的にインストールしている可能性もあり、しかも動作不良を起しにくく感染が見えにくいからです。そのため、ウィルス対策機能とスパイウェア対策機能は別の仕組みになっており、ウィルス対策ソフト単体には入っていないことが多いです。つまり、ウィルス対策ソフトだけでは、スパイウェア対策が出来ていないということです。ウィルス対策機能にはチェック除去機能以外にも常に監視をしているリアルタイムスキャンやメールを対象としたメールスキャン、あらかじめ辞書に登録されているウィルスだけでなく、推定して削除する機能などがあります。ソフトによって大きな差がありますので、十分吟味の上導入するようにしてください。ちなみに現在はMicrosoft Security Essentials というマイクロソフト社が提供している無料のウィルスおよびスパイウェア対策ソフトがありますので、これで代用することも可能です。
2.ファイアウォール
これは、外部からインターネットの入口(ルーター、モデム)を経由して各パソコンに進入する手口を防ぐ機能です。XP以降はWindows ファイアウォールが標準でついていますので、これで代替することも可能です。注意する点は、IP電話ソフトやVPNソフトなど通常の通信ポート番号以外を使って、インターネット経由の通信を行うソフトは設定を変更しないとうまくつながらないことがあるということです。これはルーターなどの設定にも同様のことが言えるので、インターネットを介するソフトを使う場合はマニュアルをよく読んだり、専門家に相談して適切な設定で行うようにしましょう。
3.個人情報保護
個人情報保護法の施行に伴い、情報流出防止に対して真剣に対応する必要性が高まりました。そこで、インターネットへの個人情報流出を防止する機能が付くようになりました。具体的にはクレジットカード番号やパスワードなど流出すると被害が大きい情報と同じものが入力されたり送信されたりする際にブロックをかける機能です。InternetExplorerにもプライバシーを送信させない設定ができる機能があります。
4.迷惑メール
迷惑メールもウィルスメールではないものが増えてきました。いわゆる勧誘や販促の未承諾メールです。それもひどいと一日に100通以上送付され、通常業務に支障をきたす、重要メールを見逃すなどの被害が発生します。そこで、迷惑メールを様々なフィルタリングで検出し、取り除く機能がつくようになりました。ただし、これがベストという検出方法がないため、必要なメールが迷惑メールになったり迷惑メールがそのまま残ったりします。そのため、学習機能と称して、分別ルールの追加ができるような仕組みがついています。この学習効果はメーカーによって差があるようですが、だいたい1ヶ月ぐらい行うと高い効果が得られます。最新のWindows Live メールやOutLookには迷惑メールフィルタがついていますが、性能は市販ソフトに比べるとちょっと落ちるようです。
5.有害サイト対策(フィルタリング、フィッシング対策)
勤務中に業務外の有害サイトを見ることは問題外ですが、有害と判定するのは迷惑メール同様なかなか難しいです。また、優良サイトを偽ったフィッシングサイトに間違って大事な情報を入力するのも避けなければいけません。しかし、一般の方にはなかなか区別が付かないように巧妙な手口を使っています。そこで、閲覧禁止サイトやフィッシングサイトへの対策を立てておく必要があり、専用の機能がついています。具体的にはネット上で報告のあったフィッシングサイトのアドレス検知やあらかじめジャンル別に分かれた有害と該当するキーワードを検出することでサイト閲覧を遮断する機能です。フィッシング検出機能はInternet Explorer7以降についていますし、コンテンツアドバイザーを使うとフィルタリングも可能になりますが、市販ソフトのほうが使い勝手はいいです。
主な機能は、Microsoft Security Essentialsの登場によって、Windowsの機能の中で賄えるようになりましたが、まだまだオマケ的要素が強い感じがします。この点はマイクロソフトも自覚しており、市販ソフトを推奨しているようなところもあるようです。現在、どのようなセキュリティをしているのか一度確認してください。