電子入札(その2)

 前回は電子入札の利点を中心に書きましたが、今回は問題点について。復習になりますが、電子入札のメリットは以下のとおりでした。

・透明性の確保(対一般市民)
・事務の効率化(対発注者)
・移動経費の削減、受注機会の拡大(対受注者)

しかし、細かな問題はいろいろあります。

 まず、入札用コンピュータ。
 今やパソコンは一家に一台の時代で、パソコンを導入していない企業はほとんどないでしょう。しかし入札にパソコンを用いるとなると、動作条件から他の用途との併用は不可能となり、入札専用パソコンを用意する必要があります。
  また、入札ソフトは全国統一ではありません。有名なところで国交省形式と横須賀形式の2種類がありますが、独自形式をとる地方公共団体もあります。つまり、国・都道府県・市町村で別々の専用パソコンを用意する必要があるわけでます。これでは、全く経費削減にはなりませんね。
 国交省が中心となって、各地方公共団体に方式統一をすすめていますが、東京都をはじめなかなかうんといってくれません。同一パソコン上で使えるようにするといった改善の動きもまだなさそうです。

 次に受注機会についてですが、受注機会の増加は、競争相手も増えることを意味します。攻める側には有利でも、守る側から言えば悪いほうにしか進みません。従来型の営業業務戦略では、たちどころに売り上げが減少するでしょう。これを機に営業戦略を見直す必要が出てくるかもしれません。

 過渡期においては、事務効率の問題もあります。
 最初から全工事において電子入札を行うわけではありませんし、電子入札対象工事が紙入札できないわけでもないからです。よって、紙ベースと電子ベースの2つの準備を行う必要があり、今まで以上に手間がかかるのが事実です。 もちろん、将来完全電子化になれば、解決するでしょうが、入札対象者が何十万もいる建設業界で完全電子化が実現するのは困難だといわざるを得ないでしょう。国、地方自治体の積極的な普及活動が望まれます。

問題点をまとめると

・パソコンを含めたIT環境の整備
・営業戦略の見直し
・過渡期の入札対策

となります。まだまだこれからですね。