建設原価管理ソフト

今回は施工管理アプリ・サービスから派生して建設原価管理アプリ・サービスについて、お話します。

施工管理の時も統合的な機能を提供するサービスには原価管理もついていましたが、建設業の原価管理は他企業の原価管理より複雑になりがちで難易度が高いです。

建設業経理士と専用勘定科目

そのため、建設業関連の会計知識をもって、帳簿作成や決算処理などの行うための建設業経理士という資格があります。税理士さんでも、建設業経理に詳しい人に担当してもらわないとなかなか苦労するとの話も聞きます。

以前別の回に紹介しましたが、勘定科目も他企業とは異なるものがあります。具体的には完成工事高、完成工事原価、完成工事未収入金、未成工事支出金、未成工事受入金、工事未払金といったものです。

工事進行基準、工事完成基準、収益認識基準、原価回収基準

さらに、年度での各工事の精算方法にも方式があります。工事進行基準といって、工事の進捗度に応じて、部分的に売上を計上し、それに対応する経費も計算するという手法があります。工事完成基準といって、工事完成時まで売上・費用を計上せずに完成後に計上するので、売上や収益を先送りする手法です。

最近は大きい企業は収益認識基準といって、工事進行基準と工事完成基準を「一期間で充足するもの」「一定時点で充足するもの」に変更されました。さらに、原価回収基準と呼ばれる原価=売上高として、使った分が売上高というような方式もあります。

共通費、外注費

さらに、工事原価の中には個別工事ですぐ分けることができる原価と共通費と呼ばれる複数の工事もしくは会社全体に関係する原価があります。これの判別がなかなか難しいです。

また、他企業では経費の一部として取り扱うこともある外注費は独立して扱うのが原則です。建設業の場合、原価全体における外注費比率が大きいため、分けないと不明瞭になるためです。工事ごとに異なる外注企業を使う場合であれば、わかりやすいのですが、複数工事に同じ外注企業を使うので、工事ごとでの費用計上も共通費同様複雑化します。労務費についても、複数工事を掛け持ちすると当然各工事での費用分担にルールが必要になります。

このように原価の精度をあげて、正しい収益を把握しようとするとなかなか大変なのが、建設業原価管理なのです。

◆どっと原価
https://www.kendweb.net/

導入実績の多い原価管理システムです。クラウド版とオンプレミス版の両方があるので、会社の方針に合わせて選択できます。見積から支払、日報まで広範囲の業務を網羅しています。

◆レッツ原価管理Go2
https://www.lets-co.com/

こちらも実績が多いソフトです。クラウド版とオンプレミス版の両方があります。見積から支払まで網羅しているので工事原価に関することはこれ1つでOKです。

◆本家シリーズ(原価本家)
https://www.icubenet.co.jp/honkeseries/

こちらはオンプレミス版のみです。原価本家で受注から工事完成までの機能があり、見積本家や入金支払本家を組合せることで他の業務も追加することができます。

◆建設原価ビルダー5
https://www.kobec.co.jp/kensetugenka/

こちらもオンプレミス版のみです。一通りの機能がついており、単体で動かすので、小規模な建設会社に向いています。買い切り型なので予算的にもありがたいです。

◆勘定奉行クラウド(建設業編)
https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kanjo-kensetsu

一般的な会計ソフトである勘定奉行の建設業特化型です。経理処理を軸に工事原価管理を行いたい場合は、こういうタイプがお勧めです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする