PDF(その2) 現場での利用方法

 前回に引き続き、PDFのお話です。今回は現場でどのように使うのかをお話しましょう。

 まずは、電子納品関係

 工事完成図書における電子ファイルの中には、「オリジナルファイルを入れる」と書かれかかれており、PDFで出力するという規定はありません。が、土木設計業務等では「報告書」「電子柱状図」「土質試験電子データシート」「測量データ」は、原則PDFでの提出となっています。よって、これらの書類が工事完成図書に関係する場合には、PDFで納品する必要があります。
 また、公印のある書類(コンクリート試験結果報告書等)で電子化する必要がある書類は、スキャナーで取り込んだ後にPDFで提出します。
 同様に、データ形式が特殊なもの(技術計算ソフトの出力結果)しかない場合も、PDF対象になることが多
いようです。
 まとめると、以下のようになります。

 ・土木設計業務関連の報告書、土質試験結果、測量結果
 ・公印のある証明書類
 ・出力が特殊なデータ形式か紙データ

このうち、あとの2つは事前協議で紙のみの場合もありますが、大半がPDF化を求められるでしょう。

 これに最適なものが、PFUというメーカーの「ScanSnap」というスキャナー。これは、A4までなら連続50枚までの両面をとりこみ、PDF化してくれます。つまり、100ページの報告書ならば一回セットするだけでOKなのです。しかも、前回お話した「Adobe Acrobat6.0 Standard (34,500円)」が同梱されており、現場で必要な機器とソフトがワンセットになっています。これで、税込み52,290円。とてもお買い得だと思います。
 リンク先を下記に示しましたのでご興味のある方はどうぞ。

 http://scansnap.fujitsu.com/jp/

 次に、電子納品以外で使うPDFの例をあげておきましょう。

 ・社内マニュアル
  紙データ、電子データを問わず使えます。特に使用頻度の高い技術マニュアルなどで、紙データで持ち運びが不便と思われるもの。上記のスキャナーで半日もあれば、数百ページのデータがCD?R1枚に収まります。

 ・あまり使われていない特殊ソフトの印刷結果
  計算結果を取っておきたいのだが、紙だとなくしそうだし、場所も取る・・というものは、プリンター出力をPDFにすれば、電子化はあっという間。技術計算ソフト、原価管理ソフト、見積ソフト等、対象になるものはいろいろありそうです。

 ・カタログ
  これも社内マニュアルと同様、かさばるのだけど手元に置いておきたいものが多々あります。著作権に十分に注意する必要があるため、配布等は行うべきではありませんが、個人的資料として持つ分にはよいのではないでしょうか。

 ・手書きの打合せ記録
  パソコンが便利になったとはいえ、手書きの気軽さには勝てません。最近の現場では、コピーボード (ホワイトボード等に書いた内容を印刷できる)も多く利用されるようになりましたが、大事な出力結果が紛失してしまうことも少なくありません。これらの記録をPDF化しておき、関連資料と同じフォルダに保存しておくと便利です。

 上記のような利用法で、大半の書類は電子化が可能になります。
 現場を経験するごとに増えていくダンボールも、このような方法をつかえば、とてもコンパクトにまとめて管理できますし、新しい現場に持ち歩いても負担になりません。瑕疵対応も迅速にできるでしょう。また、共有可能なものは、営業所内の共有サーバーに入れておけば、他の人も参考になります。私の経験では、技術計算ソフトの結果や88条申請書類の控えなどが特に重宝がられました。

 ある程度社内ルールを作って(やりすぎると収拾がつかなくなります)共有サーバーに入れてもいいと思います。現場の書類は貴重ものが多いのですが、紙データゆえに共有しにくかったと思います。PDFにすれば、情報共有が促進されるのではないでしょうか。ぜひ、あなたの現場で検討してみませんか。