今回は、現場で最近増えてきたCADデータの交換についてです。
電子納品に限らず、施工図や仮設図作成にCADを利用する機会が増えています。JVのようにいくつかの建設会社がCADデータを共有することもあれば、協力業者とのデータの受け渡し、施主との受け渡し等、FDやMO、CD?Rを用いてCADデータを交換するシーンは少なくありません。
しかし、同じCADソフトを使っていわけではないので、そのまま渡すことができず苦労した経験をお持ちの方は多いでしょう。
今回は、異なるCADソフトのデータ交換を中心にお話します。ソフトが同一であっても、画層(レイヤーとも呼ぶ)や線種、線色等様々なルールを決める必要があります。これはCAD製図基準をもとに決めると比較的楽ですが、また別の機会にお話したいと思います。
よくあるCADデータは、以下の4種類です。
AutoCAD(データの拡張子が.dwg)
JW_CAD(データの拡張子が.jwwもしくは.jwc)
DXF(データの拡張子が.dxf)
SXF(データの拡張子が.sxf)
他にもありますが、この4種類がデータ交換時の8割以上を占めているといっても過言ではないでしょう。実際、ほとんどのCADソフトはこの4種類のいずれかに対応しています。にもかかわらず、交換には様々な問題があります。よくある問題点と対応方法を4つ挙げます。
1.バージョン
パソコンソフトの進化はとどまるところを知りません。ほぼ1?2年に一回は新しいソフトが発売されます。そして、新 機能が増えると保存形式も変更されます。そして、古いソフト では新しいソフトで作った最新形式のデータは利用できないこと が多いです。そのため、交換時にはお互いのCADソフトで読めるようにバージョン(データ形式)を一致させておく必要があり ます。
2.文字・寸法・ブロック(図形)
DXFやSXFの場合、細やかな設定ができないこともあり再現性が低いことがあります。(AソフトとBソフトで見た目が変わる)その最もよくある例は、文字と寸法です。文字では、大きさや位置が微妙にずれていたり、寸法の場合は、編集がうまくできなかったりします。また、ブロック(図形)と呼ばれる線・円弧の集合体を認識できず、表示されないこともあります。これに関しては、ソフト同士の相性もありますから、実際の業務データを交換する前に再現性に問題がおきそうなサンプルデータを作成し、事前に状況把握しておくことが重要です。
また、最終成果品をどのデータ形式で保存するか決めておき、そのデータ形式での再現性を一番にしておくと対応がしやすいでしょう。
3.縮尺
意外な落とし穴が、この縮尺です。CADソフトのせいばかりではなく、書く人によってm単位で書いているのかmm単位で書いているのか異なる場合があります。また、データ変換時にソフト側の設定 で縮尺が変わる場合もあります。特に異縮尺のデータが混在する図面はご注意ください。これも2と同様にサンプルデータを使って動作確認をすることをお勧めします。
4.レイアウト空間・モデル空間
AutoCADと他のソフトとのデータ交換の際に注意すべき点なのですが、AutoCADでは通常、印刷の際にレイアウト空間というものを使って印刷を行います。そこにタイトルや文字を載せることも多いのですが、これが他のCADソフトではトラブルの元となります。データ交換を全体でする場合はモデル空間で作画し、仕上げの印刷だけレイアウト空間を使うようなルール作りが大切です。
その他にも、CADデータの出力環境(印刷プリンター、プロッター)による違いや、画層名の変換ミスなどもありますが、ほとんどは上記の4点をおさえることで対応できるはずです。最後に、前の会社にいたときに使っていた変換ソフトを紹介します。
Pro/Trans 2004
http://www.nacos.co.jp/product/protrans/index.html
前述の問題を、かなりの部分まで解決してくれます。有料ソフトなので万人にお勧めというわけではありませんが、交換時の手間で困っている方は一度お試しになったらいかがでしょうか。体験版もあります。