Google SketchUp

 最近、BIM(略語参照)と称して、建築CADの3次元化付加情報による積算業務支援が盛んになってきました。それに伴い、様々な3次元化ソフトが登場しています。今回はその中で、無償でありながら、かなり豊富な機能を持ったGoogle SketchUpをご紹介します。

 SketchUpは、@Last Software社が開発した有償ソフトでしたが、Googleが2006年3月に買収して、機能限定した無償ソフトを公開しました。その後、2007年10月には日本語版も公開され、CAD関係者からは注目をあびています。

 

CADソフトというより、デザインソフトとして紹介されている場合が多いのですが、モデリングといわれる3次元データ化機能、マテリアルといわれる3次元データ表面の材質感表現機能寸法機能簡易アニメーション機能など、標準的な機能はそろっており、簡単な形状の構造物ならすぐに作成できます。直感的な操作が
できるよう、推定機能が装備されており、CADを触ったことが無い人でも短時間のレクチャーで操作可能になります。

 3次元データは、一から作ることも出来ますが、他のCADデータからも取り込めます。有償CADの中で大きなシェアを占める、AutoCADの標準ファイルもちろんのこと、無償の2次元CADとして有名なJW_CADからも、DXF形式のファイルでインポートすることができるので、2次元CADデータを有効に使えます。これにより、慣れた2次元CADソフトで基本形状を作っておき、SketchUpで厚みや高さを与えることにより、作業効率が向上します。有償版では、様々なソフトへのエクスポート(出力)も可能になっています。

 また、Googleらしい点として、バーチャル地球儀ソフトであるGoogle Earthとも連動できます。バーチャル地球儀の中に、自作の3Dデータを挿入できますし、Google SketchUPの中に、周辺景観データとしてGoogle Earthの衛星画像を取り込むことが出来ます。よりリアリティのあるわかりやすいものをつくることが出来るでしょう。

 以上の機能により、高価なソフトを使わずとも、鉄筋干渉チェックや建築物における構造物と配管、配線との関係が確認できます。現在、阪神大震災以降に制定された設計基準では、従来以上に多くの鉄筋が必要とされており、鉄筋同士の干渉問題が切実になっています。特に、基礎鉄筋と柱鉄筋の関係や、柱鉄筋と梁鉄筋の関係は、図面でも個別にしか表現されていません。よって、なかなかチェックしづらかったり、端末処理であるフック形状の干渉もイメージしにくかったりするのですが、3次元化で、誰の目にも簡単に確認できるようになりますね。設計変更や発注者・施工業者との打合せには、非常に有効です。

 簡易アニメーションを使ったり、プラグインという追加機能を導入すれば、施工手順の検討にも応用できます。ただし、ソリッドという固体としての概念は無く、サーフェスという面だけで立体を構成しているので、数量拾いには向かないかもしれません。ここがデザインソフトといわれる所以だと思います。

 これから確実に、CADも3次元化に向かっていくと思われます。「3次元CADは難しいから」とあきらめていた方も、このGoogle SketchUpを触っていただければ、その考えが変わるでしょう。まずは、プログラムをインストールして、サンプルデータを動かしてみてください。

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