前回に引き続き、電子認証のお話です。今回は現状と問題点を見ていきましょう。
まず現状について。大きく4つの手続きでの認証に利用されています。
1.電子入札・調達
建設業では一番なじみ深いですね。入札の際、担当者が入札しているか確認するのに電子認証を使います。
2.電子申請・届出
住民票等、各種官公庁への書類をインターネット経由で提出する場合に使用します。住民票等ですと公的個人認証サービスに加入する必要があります。
3.電子申告・納税
国税・地方税の申告及び納税の電子版です。
4.電子商取引
会社を通しての契約・商品売買に際し、通信上で不正がなされないよう電子認証を行います。
このうち、1?3は公的な手続きですから、認証自体も公的に認められたもの(「電子署名及び認証業務に関する法律」で定められた特定認証業務の認定をう けたもの)でなければなりません。4は、民間レベルで取引双方が了承していれば、未認定でも特に問題はありません。印鑑でいうなら、1?3が実印で4は認 印ということになるでしょうか。もちろん、4においても、取引内容が拡大したり取引相手が多くなると、信頼性に欠けるのでは問題が生じます。1?3と同 様、国のお墨付きがあるほうが望ましいといえるかもしれません。
では、問題点はなんでしょう。
まず、提供されるサービスの多くがまだまだ中途半端でです。
例えば、1.電子入札では、入札そのものは自社からできますが、入札に必要な書類や図面はとりにいく必要があります。また、2.電子申請においても、電子上でできるのは申請までで、書類は紙を取りに行かねばないません。電子申告も、添付書類は郵送です。
今後、徐々に改善されていくでしょうが、現時点ではメリットが半減・もしくはあまりない状態であることは事実です。
次に、公的個人認証サービスが住基カードとリンクしている問題があります。つまり、住基に未賛成である地方公共団体の住民は、メリットを享受できません。代替認証サービスが存在しないためです。
サービスまでの手続きが煩雑なのも問題です。ICカードの入手手続きはもちろんのこと、インターネット環境(セキュリティや接続のための設定が必要)の 構築、カードリーダーの導入等、専門家のサポートなしに容易にできるものではありません。実印ならば、買ってきた印鑑を登録するだけで済みます。この差を 埋める導入サービスを、公共レベルで行う必要があるかもしれません。さらに、実印以上に費用がかかります。実印は1回購入すればすみますが、認証は年間い くらという形で毎年費用が必要です。
また、インターネットならどの環境でもOKというわけではありません。アップル社のMACやリナックスでは、動作保証されない場合が多いようです。閲覧ソフトも、OperaやFirefoxというインターネットエクスプローラー以外はだめなようです。
ということは、必然的にマイクロソフト社の環境以外では困難なのです。
さらに、国としてシステムが統一されておらずバラバラなので、認証以外にも毎回の利用者登録が必要なようです。画面や手続き方法も微妙に違っているため、ひとつ覚えればあとは同じというわけでもありませうん。
そしてこれはいつも思うことですが、システムが使う側に立っておらず、管理する側の単位でしかまとめられていません。これについてはまた別の機会にお話しますが、利用を阻む最大の障壁だと思っています。
このようなに問題点が多いのですが、解決できないわけではありません。早期に問題解決に向けてアクションをとっていただきたいと思います。