電子調達(電子商取引)その2

 前回、電子調達の概略についてお話しました。今回は実際に行われている取引システムの紹介です。

・CI?WEB

 大手ゼネコン4社(大林組、鹿島建設、清水建設、竹中工務店)でシステム開発したものです。発注者側が11社、受注者側が5000社で、登録料は約8万円・年会費が6万円弱です。発注者11社と取引している業者さんで、印紙税が6万円(例えば請負金1200万円で4回分)超の取引があれば、メリットがあるでしょう。CI-NETに準拠しており、見積、注文、出来高、請求まで一連の作業が電子取引として可能です。郵送や印刷コスト(紙代・手間)がなくなるので、これらの発注者と取引のある業者さんでは利用が増えてきています。しかし、残念ながら発注者数が少ないため、建設業全体への普及には今一歩の感があります。

・TRIOPLAZA

 大成建設が開発を行った総合調達システムです。大成建設が上記システムに参画していないのは、これの前身(G-net)が先に開発・運用されていた(1998年)ためです。現在3,300社の業者さんと取引があります。ただし、CI?WEBの運用元であるCEC.COMにも参加しており、電子認証関係を利用したり、手続きはCI-NETに準拠するなど互換性を確保するようにはなっています。他社より先行して始めただけ実績があり、作業所Netといわれる現場ポータルサイトとの連携も構築されています。

 建設業界の中でも大成建設は比較的ITを早く取り入れ、他社より一歩進んだ構築がなされていることが多いです。

・全国建築市場

 もともとは鹿児島建築市場として始まった、地域密着型の電子商取引システムです。このグループの特徴は、地域密着と建築施工に関するコストダウンをグループ全体で取り組んでいることです。すなわち、CADデータ、施 工管理情報の共有化にとどまらず、資金調達やCAD積算センター、調達センターによる支援部署の一元化等が行われています。

 先の2例が大手が牽引するタイプなのに対して、この例はお互いが協力し合って同じ目線でやっていこうとしている感があります。まだ、全国を網羅しているわけではありませんが、確実に広がっており、今後注目のシステムだと思います。

・CMnet

 これは調達ではなく民間の入札システムです。官庁では無理だと思われる逆オークション(買いたい人のために売りたい人が値を下げていく)もできるようになっており、とても面白い仕組みだと思います。森ビルとソフトバンクが始めたもので、アサヒビールや日本マクドナルドなども発注者として利用しています。

・その他

 準大手でも、間接資材(作業服や安全用品、現場消耗品、文房具など)を共同購入したり、建設資材のマーケットプレースを提供したりと、いろいろな形で電子調達(広い意味での電子商取引)が行われています。

 

 全般的に2000年ごろから始まったこれらの電子商取引は、基本システムの構築から改良、普及の時期に入ってきていると思います。しかし、中小建設業にはまだまだ敷居の高い環境です。今後、システムの操作性向上、利用料金の低価格化が進み、利用者の増えることをのぞみます。また、各システムの相互乗り入れが実現し、システムのよさで勝負できるような状態になるのが望ましいと思います。(難しいですかね?)