業務改善のみせ方(その4)

 前回、よく使う以下の4つのグラフの役割を紹介しました。

・円グラフ
・折れ線グラフ
・棒グラフ
・散布図

 上記の4つのグラフを使えば、大抵の管理指標は表現することができると思いますが、もう少し最適なグラフを知りたいとのリクエストで、今回はさらにいくつかのグラフについて紹介します。なお、これらのグラフはすべてエクセルで表現できるものです。

1.2軸グラフ

 棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた、2軸グラフです。これは、項目軸は同じにして、左側に棒グラフの縦軸を右側に折れ線グラフの縦軸を表記したものです。2つの縦軸は同じ数量で目盛幅をかえる(例えば、左が100単位、右が1000単位)といった使い方もできますし、左が数量で右が金額といった使い方もでき
ます。

 例えば、商品の2割で売上の8割を占める法則をパレートの法則といいますが、これを表現するには、商品カテゴリー別の売上を大きい順に棒グラフで並べ、売上を大きい順に累積したものを折れ線グラフにして重ね合わせます。パレートの法則を始めて聞くかたは、このグラフができるかどうか半信半疑の場合が多いのですが、実際にやってみると、商品別売上だけでなく、不具合の要因別件数など、様々な例でこの傾向があると分かります。

(注意事項)

できるだけ折れ線グラフが棒グラフの上になるように目盛りの下限値上限値を調整します。重なっていると、見づらくなります。重なる場合に、色つけなどで目立つよう工夫するケースもありますが、目盛りの調整が最適です。

2.積み上げ棒グラフ

 次は、棒グラフでありながら円グラフのように使えるという積み上げ棒グラフです。左端から右端(もしくは上端から下端)までを100%とし、ひとつの棒の中に複数の要因を%表示したものです。全体比率の経年変化を表現したい場合には、円グラフを複数用意するのではなく、こちらを使います。例えば、商品別の売上比率の経年変化(どの商品が主力となっているか)を表現する場合や、部署別の間接費比率などを見る場合に使います。

(注意事項)

意図している変化がわかりやすいよう、項目の並び替えを行います。変化が大きい箇所を端部に置きましょう。中央部では、全体的に移動するためわかりにくくなります。また、変化を表現したい項目が多すぎると、見えづらくなりますので、適切な項目合算も大切です。

3.面グラフ

 面グラフとは、折れ線グラフの下を塗りつぶしたようなものです。折れ線グラフと異なるメリットは、違い塗りつぶすことによって積み上げ合計が可能になり、上端下端を100%にした表現もできる点です。個別指標の変化ではなく、時系列の全体変化が見たいとき使います。棒グラフでも同様のことができますが、項目軸
の目盛りの数が多い場合は、こちらのほうが見やすいでしょう。

4.ドーナツグラフ

 円グラフで、2つ以上のグループを扱うときに使います。ドーナツ状に書かれたグラフをいくつか合わせて用います。去年と今年の部署別売上比率や、男性と女性のアンケート結果の違いなどを表現する場合などが有効です。 (2つ以上と書きましたが、4つ以上にすると比較がしにくくなります。)

5.レーダーグラフ

 レーダーのように中心からいくつかの数値軸を伸ばして、各項目をプロットし、線で結んだものです。数値が全体に高いほど、外側に線が結ばれた丈太になります。顧客満足度のような定性的なアンケートにおいて、各項目を5段階評価にしたときに評価の傾向をみるのに使ったり、いくつかの観点から総合評価を行いたいときに使います。2つのグループをプロットすることで、各グループの得手不得手を見つけたり、業界平均と自社実績を比較する際にも使えます。

6.等高線グラフ

 2つ以上の数値を使って、地図の等高線のように描くグラフです。もともとの値から等値線を作り出し、傾向を見る場合に使います。(私自身は、3次元測量データや2次元測量データを、エクセルで計算するときに確認で使うことが多いです。)

7.バブルチャート

 散布図の中に、値をもった円をいくつか書いたものです。散布図では2値しか評価できませんが、バブルチャートの円のサイズを使うことで3値を扱えるようにしたものです。

8.3次元グラフ

 円グラフ、折れ線グラフ、棒グラフ、面グラフのいずれにおいても可能であり、グラフに厚みを与えることで、3次元的に表現する方法です。円柱や円錐、ピラミッドの形で表現するものもあります。見栄えがよくなる感じがする場合もありますが、数値を読み取るにはあまり向いていないケースが多いようです。プレゼンテーションでの表現方法のひとつとしてとらえ、多用はお勧めしません。

 エクセルでは、前回紹介したもの以外にこれだけのグラフを作成できます。「4つの基本グラフではうまく表現できなかった」と思うものがあれば、上記のグラフに挑戦してみてください。ただし、どのグラフを使うにせよ、目的を忘れたグラフは誰にも見てもらえません。何を伝えたいのかを忘れないでください。

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