「見える化」の進め方(その2)

 前回、「見える化」の推進について、「属人化の排除」を目的とした例で話を勧めました。最初のステップは現状分析であり、そこで得られた結果は

 ・現状の業務の流れ
 ・属人化の問題点

の2点です。今日は、次のステップをお話しします。

2.現状と問題の細分化・分類

 まず、前回の現状業務の流れを見直してみましょう。

 属人化してしまう原因として、特別な作業が必要であったり、経験・技能などを習得する必要がある作業が含まれていることが挙げられます。しかし、それは、業務全体からみるとほんの一部であったり、代替手法が可能であることも少なくありません。

 そこを明確に洗い出すため、現状業務を細分化し、一般的な部分と特別な部分が分かるようにします。この細分化は、なかなか難しいかもしれませんが、新人に手ほどきするつもりで動作を一行ずつ書き出すといいでしょう。もちろん、単位的にまとめても支障がなければ、細分化したのち、グループ化してもかまいません。ただし、グループ化の基準は、一般的な作業と特別な作業という区分けで行ってください。

 こうして、「一般化された部分」については、他の人がやっても可能と分かりました。残る「特別な部分」も、ある対策(=後述)をたてることで、他の人でもできるようにします。このステップを踏むことで、属人化の排除に必要な作業範囲を小さくし、対応しやすくします。

 漠然と、作業全体について属人化を排除しようとすると、時間や手間ばかりかかります。自社の中で基礎的な作業と思われる部分は、対象からはずすようにしましょう。

 次に問題点を分類します。こちらも必要に応じて細分化しましょう。ヒヤリングで得られる問題点の多くは、複合的な原因を抱えています。そのため、対策が見えにくいのです。

 問題点を見つめなおす視点としては、「ひと、もの、かね」の視点やバランススコアカードの「財務、顧客、業務、教育」の視点、「体制、能力、権限」の視点などがあります。そうして、シンプルな課題に分解していきます。難しく思われる分解も、視点を使うことで容易になります。慣れれば、ヒヤリングの段階でもある程度区分けできるようになりますので、ぜひ習得してください。

 問題点を分解していくうち、違う問題点から同じシンプルな課題がみつかることもあります。徹底した分解と分類を行うことで、当初の問題点からは想像もつかなかった課題が見えてくることもあります。問題点を分解したのち、同類の課題どおしでまとめていきます。

 ただし、ここで気を付けたいのは、課題を抽象的に書くことで大きなテーマにならないようにすることです。たとえば、役割分担が不明瞭だった点が、問題点の分解でわかったとします。それを、会社全体の業務分掌や組織改革にまで広げてはいけません(もちろん、最終的にはそこに行きつく場合もあるのですが)。まずは、対象となる業務・必要な範囲での課題にとどめておくようにしてください。

 また、この細分化・分類を行うにあたり、「特別な作業」に分類された業務に関連する課題について、特に留意してください。それこそが、属人化の排除を行うための最重要課題だからです。逆に言うと、目的を「属人化の排除」だけに特化するのであれば、この部分の課題のみを優先的に解決することで、早い段階での排除が可能になるでしょう。

 また、時間や費用、影響範囲などによっては、局所的な解決も必要な場合があります。そのためには何を最初に抑えるべきかをきちんと把握しておきましょう。

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