今回も前回に引き続き作業手順書のチェックポイントについてお話しします。
前回は
(1) 作業が不足していないか
(2) 作業の順序はよいか
(3) 前作業・後作業との関係はよいか
の3つのポイントを確認しました。これで作業の流れはOKのはずです。いよいよ人を考慮したポイントに移っていきます。
(4) 作業分担はよいか
多くの作業は、複数の人間が役割を分担して進めていく必要があります。重機オペ(操縦者)や誘導者、職長など役割を決めておくことは作業手順書の基本です。
しかし、コスト削減の折、複数の役割を一人が兼任することが少なくありません。このときについ無理な作業分担をしていることがあります。コスト重視が品質や安全を損ない、結果的に余計なコストを生じさせることがあります。
事前に内容を確認し、兼任すべきでない役割の明示や最少作業人数を決めることにより、おかしな作業分担をさせないようにしましょう。
(5) 判断基準、分岐基準は明確か
作業の中には天候や作業時間の区切りなどで進めるべきかどうかの判断基準を決めておく必要があります。コンクリート打設や終業前の盛土などがそれにあたります。また、作業規模によって行うべき作業が変わるような分岐基準を設ける必要のあるものもあります。
基準の最大のポイントは、検査ややり直しを最小限に食い止めるように設定するということです。全体工程や後工程の関係上やむをない決断をするにしてもそれはあくまで例外処置で基準に従った作業を行うことで思わぬ問題をお粉さないようにすることが大切です。
(6) ムリ・ムダ・ムラな作業はないか
作業の流れも人の分担も基準も大丈夫ならば、いよいよ内容そのものが今のままでいいかを考えることになります。その最初はムリ・ムダ・ムラな作業を探し出すことです。ムリ・ムダ・ムラの捉え方はいろいろありますが、品質の観点からするとムリは目標品質を確保しにくい作業、ムダは目標品質以上に手間をかけている作業、ムラは一定の品質が確保しにくい作業といった感じです。
特にムラは作業員の質や作業環境に左右されることが多いため、対策が難しいですが、機械化を検討したり、環境条件の整備などを明記することで対応します。ムリは増員や分担見直し、ムダは品質や安全の条件を決め、それが確保できる内容まで作業を減らすといった対応を考えましょう。
(7) 改善すべき作業はないか
ムリ・ムダ・ムラ以外にも前述した機械化やプレキャスト・ユニット化で対応できる作業もあります。IT化による改善もゼロではありません。GPS搭載や3次元CADによる丁張作業削減等もその例です。
作業手順書は1回作ってしまうとついつい見直しを忘れがちです。ひどいと実際作業と違う内容になっているものもあります。チェックポイントを定期的に確認しながら、内容を修正することを忘れないでください。