営業管理(その6)

今回も営業管理についてお話しします。今回はスキル・知識管理についてお話しします。

5.スキル・知識管理

営業には様々なスキルや知識が必要です。コミュニケーションスキル、交渉力はもちろん、お客様のお困りごとをしっかりヒヤリングして情報を収集し、現状をロジカルな思考で分析し、課題を発見、ニーズを推察し、仮説検証の上、問題の解決案を策定、関係者の利害調整しながら、解決案を上手に提案するためのスキルが必要です。

案件前の状態からお客を見つけ出すためのマーケティングスキルや企画力も必要になります。企業規模によっては営業とは違う部署が行っている場合もありますが中小企業ではほぼ営業部門で行っていることです。

さらにわかりやすく見せるプレゼンテーション能力も必要ですし、複数人で行う営業であればチーム力やプロジェクトマネジメント力も必要でしょう。もちろん、昨今のICTを使いこなせるほうがよりよい成果を短期間に出せることが多いため、ITスキルも必要です。

大きく分けると、販売に関するセールススキル、技術・手法に関するテクニカルスキル、対人に関するヒューマンスキルの3つになると思います。

また、商品知識(原価含む)、一般知識(地域情報含む)、業界知識(競合含む)、契約知識といった基本知識だけでなく、ビジネスマナー・モラルといった対人として欠かせない知識、情報セキュリティといった情報の重要性を確保するための知識なども必要です。

これらを体系立てて、営業年数に応じて、目標を設定し、習得させる仕組みがスキル・知識管理です。新人、若手、中堅、ベテラン、管理職といった層別で同じスキルでも習得すべきレベルや内容が異なる場合にも対応できるようにしましょう。

なかなかイメージできない人は、中央職業能力開発協会が提供している職業能力評価基準を参考にしてください。多岐にわたるのでびっくりするかもしれませんが、様々なスキル・知識が必要なことがわかると思います。

◆営業・マーケティング・広告
https://www.hyouka.javada.or.jp/user/dn_standards_a9.html#F

◆総合工事業の建設営業
https://www.hyouka.javada.or.jp/user/dn_standards_a10.html

評価シートや判定のガイドライン、教育計画の見本もあります。

◆モデル評価シートほか
https://www.hyouka.javada.or.jp/user/sheet.html

これらを参考に教育計画をたて、半年もしくは1年単位で個別の習得目標を立てさせ、面談等を通してフォローすることが望ましいです。

教育の手段としては、集合教育であるOffJTと個別教育になるOJTとありますが、OJTは素材となる仕事や指導する上司によって差が大きいことが少なくないため、フォローが不可欠です。OffJTは会社規模によっては社内で行うことは難しいと思いますが、外部研修を利用したり、eラーニングと呼ばれるネットを活用した研修を利用することで一定のスキルを習得する仕組みを作ることは可能です。習得状況は受講記録を管理しながら、面談を通して実態を把握することが大切です。

なお、せっかく面談するのであれば、スキルだけでなくモチベーションも把握しておきましょう。案件は必ずしも契約できるとは限りません。失注続きだとモチベーションを上手に維持することが難しいです。もちろん、チーム力と言いながら、ノルマを課せられ、個々人の受注成績を評価されるのもストレスです。モチベーションに関しては管理指標を考えにくいですが、面談を通して、状況を把握することとその後のフォローを意識することは可能です。できるだけスキル把握とセットで行うようにしてください。

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