今回も営業管理についてお話しします。今回は進捗管理についてお話しします。
4.進捗(経過)管理
進捗管理は、その名の通り、お客様との接触から、受注・契約までのプロセス(経過)を管理することです。簡単なように思えますが、現実はプロセスのステップ化(タスク分解)は行われていないか標準化されていないことが多いです。ひどいと失注・受注でひとくくりされており、案件管理とほぼ変わらない状態であることも少なくありません。
また、進捗管理といいながら、営業担当の単なる「行動」管理になっていることもあります。「○○にいった」「△△を行った」といった記録を残し、それを数多くやっているかを確認するだけを管理としていることです。当たり前のことですが、行動だけを把握しても顧客の状態はわかりません。
いい感じで進めているのか、てこ入れが必要なのか、切り札を出して一気に攻めるべきなのかがわかるようにすることが重要です。
進捗管理の第一歩は「進捗を見える化する」ためにこのステップ化することにあります。これは企業規模や業種によっても異なると思いますが、「集客」「接触」「提案」「見積」「受注」「契約」といった流れが一般的です。
この各ステップの進み具合を管理していくのですが、管理の目的を意識させることが重要です。具体的にバランススコアカードの4つの視点でみると
・収益の視点
利益率の高い案件を受注する。不用意な失注を減らす。
・顧客の視点
顧客のニーズに合わせた訪問時期でお互いがより良い条件となる。
・業務の視点
フォローにより対応漏れやムダムラムリのない営業活動を行う。
・教育の視点
進捗結果を活かして、成功を増やし、失敗を減らす担当を増やす。
といったことを意識させて管理させる必要があります。
上記を意識すると例えば、顧客が早く決めたいのであれば、即答できる案をもっていくし、ゆっくり決めたいのであれば、少し開けて訪問することを予め伝えておき、間にフォローを入れるといったことも考えられるようになり、一律、提案は1週間後といった紋切り型の業務手順にはならないはずです。
また、営業担当だけに任せず、リマインダー機能をアナログ(上職や事務員の声掛け)、デジタル(スケジュールのメール機能)を組み合わせて実現し、漏れをなくすのも進捗管理の一部であることもわかってくると思います。
失注でも同じ理由の失注を繰り返さないように、原因を突き詰めて再発防止策を考えて、周知徹底することが大切だとわかるはずですが、失注を単なる担当のマイナス評価としてるだけでは原因追求や情報共有は図れません。そのようにならないような仕組みや意識づけが進捗管理の中には必要です。
どうしても進捗管理はノルマ(売上目標)の管理手段と思われがちですが、上記のような目的で行い、会社全体で営業力・収益力をあげる仕組みにつかうべきです。
まあ、以前お話ししたように案件ごとの売上額の幅も大きく、利益率の幅も大きすぎる(最悪は赤字)の建設業で売上目標だけでは意味がないことは何度もお話ししているとおりです。
見積ステップで利益額を把握して、受注ステップに行くのかどうかを判断する仕組みを入れないと1カ月程度の少額工事の利益が3つで、半年工期の工事を上回る利益を出せるにも関わらず半年工事にしがみつくような失敗を起こします。(状況によってはやむをえない場合もありますが・・・。)
進捗管理の目的を理解し、営業だけでなく、全社的な仕組みとして考えていくことが成功のポイントだと思います。