前回に引き続き、ドローンについてお話しをします。
今回はドローンでの実際の建設現場での利用例をいくつか紹介していきます。
(1) 空中撮影(定点撮影)
工事現場では、工事の進捗を記録するために特定の方向から同じアングル、ズームで写真を定期的(週に1回とか月に1回とか)撮影することがよくあります。
この際、最初は何もない平地が掘削され、谷ができたり、盛土されて山ができたりすると、当初の位置での撮影が困難になることが少なくありません。もちろん、あらかじめ工事の影響のない範囲から撮影をするのですが、構造物の全景が取れなくなるようなこともあります。
ドローンによる空中撮影はその問題を簡単に解決できます。予め全景がとれる高さから撮影をすれば、よほどの障害がない限り同じ位置での撮影は可能ですし、構造物の陰に隠れる心配もありません。また、海岸などの構造物でも海側からの撮影ができますし、河川でも河川中央の上空からの撮影といった今まででは簡単にできなかった撮影ができるのはとても魅力です。
(2) 三次元測量
ドローンの撮影した多くの写真を専用のソフトで分析することで3次元測量をすることが可能になります。精度としてはまだ通常測量ほどの精度はないと思いますが、その測量速度は圧倒的です。また、カメラではなくレーザースキャナーによる測量も実際に鹿島が実用化しており、±6cm程度の範囲に90%が収まるとの結果も出ています。また、その測量速度は光波測量が3日に対して1時間と大幅な短縮が図れるようです。
特に人が簡単にいけないような場所でも空中から移動し、撮影することで広範囲で連続的に測量することができます。測量の安全性にも大きく寄与すると思います。
(3) 維持管理
最近は橋梁やトンネルの維持管理に様々な機器が出てきていますが、ドローンはその中でも有効な機器として人気を集めています。
一番の大きな特徴は従来の点検で必要な足場が不要なことです。特に橋脚が高い場所や橋梁の下が海や渓谷などの場合、橋桁の下を確認することは容易ではありません。しかし、ドローンであれば、容易に確認することができます。また、小型ドローンであれば、人が入りにくい小規模な共同溝や排水管でも状況を確認することが可能になります。
(4) 災害箇所の被害確認
地震や台風、火山の噴火等日本では様々な自然災害が発生します。その際に道路等のインフラが損壊し、復旧工事を行う必要が出る場合があります。
しかし、二次災害を避けるため、現地調査はなかなか進みにくいことが多いです。ドローンの空中撮影により、範囲を早い段階で特定することで二次災害を防ぐための応急的な対策が取りやすくなったり、人では近づくことが困難な噴火域や土砂崩れの場所にドローンで見ることで災害の全体像をつかむことも容易になります。
(5) ドローンによる資材搬入
まだ、一部ですが、ドローンでの宅配サービス等の進んでいけば、ある程度の資材を運搬できるようになると思います。既に大型にはなりますが人を運搬するようなドローンも試験的に作られており、それなりの資材が運べるようになります。また、自動操縦との組み合わせにより人間が関与することなく運ぶような仕組みもできると思います。
(6) ドローンによる安全巡回
日祝日等の休日に大規模な造成工事などでは盗難や現場への不法侵入によるトラブルが多くあります。ドローンで飛行ルートをプログラミングし、本来動きのないところに動きがあることを確認する動態観測の仕組みを入れることで、防犯対策にも使えますし、掘削した切土や盛土の斜面動向も上り下りすることなく確認することが可能になります。もちろん、安全巡回として、稼働現場の中での巡回もできるので、不安全行動の抑止にも使えると思います。既に警備会社ではサービスを提供しているところもあります。
ドローンは購入するだけでなく、レンタルサービスも行われているようです。様々な形で現場の業務効率や安全性を高めることができるドローンを一度お試しください。