財務管理(その11)

引き続き、財務管理についてお話しします。今回も書類管理についてお話しします。

まずは前回紹介した書類の保管期間についてです。法的に決められているものとして、以前ファイリングのポイントでも紹介しましたが、

◆10年間保存
・商業帳簿、契約書・・・商法
・完成図、打合簿、施工体系図・・・建設業法施行規則
◆ 7年間保存
・注文書、領収書、請求書・・・法人税法と所得税法の施行規則
・源泉徴収簿・・・国税通則法
◆ 5年保存
・健康診断結果・・・労働安全衛生法
◆ 3年保存
・賃金台帳、労働者名簿・・・労働基準法
・安全衛生委員会議事録・・・労働安全衛生法

といったものがあります。財務管理で行くと10年もしくは7年が基本になると思ってください。

前回の分類で行くと、1.税務書類と4.固定資産管理が該当します。つまり他の書類の保管期間は法律上はありません。では、どの程度にすればいいでしょうか?

2.工事原価管理資料と3.資金管理・リスク管理、7.その他は年次資料ですが、経年変化を確認したいことがあるので3年から5年はあるといいです。もちろん、電子化されていれば、紙ベースは1年間で問題ありません。

5.借入金管理と6.長期利益管理は返済計画もしくは利益計画の期間中は保管していることが望ましいです。長期間であれば途中での見直しもあると思いますが、その見直しも履歴として残していき前倒しであればOKですし、遅れているのであれば挽回策も検討すべきです。長期計画の実施は大変ですが、大変だからこそ、計画を常に見直し、過去を見つめて、未来を見据えることができる資料は手元に置いておきましょう。

次に各書類の表現方法です。

前にも利益を意識する環境づくりということを少しお話ししましたが、その環境づくりにはどうしてこの利益率が必要なのかを納得できる形で社員に提供する仕組みが不可欠です。

つまり、作成した書類を単に税務申告や経営管理のために使うだけでなく、会社の利益向上のためのツールとして使っていくことが大切です。そのためには単に数値化した表だけでなく、目標との差異がわかるグラフを作成しておく必要があります。できるだけ、社員の目に触れる場所にあることが望ましいので、掲示物として貼っておくことが理想です。ただし、利益額という金額そのものが表示させると第3者の目に触れる可能性がある場所では困ることもあるので、目標達成率や全体割合といった比率で表示することも検討してください。もちろん、それだけでは実数を把握できないので月例会議等で現状報告を金額入りで配布してください。その際もグラフ等でわかりやすくすることは意識しましょう。

また、目標を達成した際のキャッシュバック、つまり、給与や賞与への反映を形にしておくことも大事です。できれば、図表の中にでも「ここまで達成したら賞与○%UP」といった表記があると社員もつい見たくなると思います。

日頃から財務的指標を何らかの形で触れられる環境にすることで原価に対する素地をつくり、自分たちの頑張りが形(給与)になることを意識させることは財務目標達成のための大事な一歩だと思います。

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