IT機器の停電対策

 今回は現場における停電対策です。

 最近の現場は、電力消費量が多くなりました。会社のIT成熟度や現場規模によって変わりますが、一人1台のパソコンにデジタル複合機(プリンタ兼用)とNAS(共有ファイルサーバー)が基本で、人数によってはさらに追加のプリンターやプロッターまであります。一昔前なら本社でもなかった環境が現場事務所に常設されています。

 このような状況で時々お話を聞くのが停電です。停電といっても理由はいくつかあります。具体的には、

・一度に多くの機器類を使って、消費電力が多すぎて、ブレーカー が落ちることによる停電
・落雷によって、ブレーカーが落ちる停電
・地震や台風等の天災もしくは事故等の人災による送電線の切断に よる停電
・発電施設の故障等による停電

というのを実体験したことがあります。特に土木現場において、人里離れたところだと、落雷による被害は意外と多いです。

 このような状況下でも安心して、業務を進めるためには停電対策が不可欠となります。今回は私が実際に行っている現場での停電対策をお話しします。

(1) パソコン

 まずは個々人の使うパソコンです。可搬性の高さや机にしまうことができる防犯のよさから現場ではノートパソコンを推奨しています。ノートパソコンのもう一つのいいところはバッテリーを搭載しており、少々の停電では問題なく作業を進めることができるということです。

 ただし、最近は電子納品の関係上、現場でCADを使うことが増えてきました。ノートパソコンの小さい画面ではつらいですよね。また、複数の図面を同時開くような作業を行う必要があるとノートパソコンの仕様では動作が緩慢になることもあります。

 この場合はデスクトップパソコンを設置することになりますが最大の欠点がバッテリーがないということです。そのため現場で使う場合は必ず無停電装置をセットで導入してもらうようにしています。無停電装置には必ず本体とディスプレイの電源ケーブルを接続するようにしてください。本体だけだと停電時にディスプレイが真っ暗になって、保存作業ができないからです。

 なお、雷対策については逆にデスクトップの場合は、無停電装置に雷サージ対策もできるものが多いので無停電装置にお任せですが、ノートパソコンの場合は、内蔵していないので雷サージ対策のあるテーブルタップを使用してもらうようにしています。通常のものより少し高いですが、現場事務所は周辺に何もない場合も少なくないので雷対策は必須だと説明して導入してもらっています。

 あとお勧めしているのが、重要ファイルだけDropboxのようなオンラインストレージにバックアップをとることです。停電ではないのですが電源ケーブルを人間が引っかけたとか飲み物をこぼした等でパソコンが止まってしまうことがあります。無停電装置も雷サージ対策も効き目がありません。このようなときにバックアップを取っていることは非常に助かります。NASに専用のフォルダを作ってバックアップを取ることもいいですが、地震・台風等には一蓮托生で意味がないので、外部に取ることを勧めています。

(2) NAS(共有ファイルサーバー)

 こちらもとても重要なファイルがあるうえに24時間稼働状態の場合が多いので、無人状態で停電になると目も当てられない悲劇が起きることがあります。

 そこでお勧めなのが、自動シャットダウン機能の付いたNASとそれに対応した無停電装置をセットで導入することです。設定が少し手間ですが、もしものことを考えると決しておろそかにすべきことではないです。

 できれば、行ってほしいのが1日に1回のバックアップをできる体制を整えておくことです。こちらも機能的に提供しているNASは多いので、バックアップ用のハードディスクを設置しておくか、こちらも一部のファイルをオンラインストレージサービスで外部に保存するようにしてもらっています。

(3) 複合機やプリンター等印刷機器

 基本的には雷サージ対策以外は行いません。理由として、データを保持していないことが一番ですが、消費電力が大きすぎて無停電装置が用意できないという理由も大きいです。ただし、停電期間が長くなっても印刷できる環境が常にほしいというニーズがある場合は、バッテリー内蔵のインクジェットプリンターをお勧めしています。A4までしか印刷できませんが、最近のものはレーザープリンターに劣らずきれいに印刷できますので、遜色はないと思います。

(4) ネットワーク機器

 意外に忘れがちなのがHUBとルーターです。停電時にNASとパソコンは無事なのにネット接続が切れたと騒ぐことがありますがたいていHUBやルーターに対策を施していないからです。

 ネットワーク機器の消費電力が非常に小さいので、1台の無停電装置で複数の機器がまかなえます。ネットワーク機器は電気配線を工夫して、少ない無停電装置で接続しておくことをお勧めします。

 できれば、HUBを使わなくて済む無線LAN環境にして、ルーター機能を付けた親機1台にするとインターネット接続用機器と親機だけで済むので無停電装置も1台になりますし、配線もなくなります。以前お話ししたモバイルルーターだとバッテリーも搭載してますので、無停電装置すら不要となります。接続する台数で環境を選択してください。

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