新・担い手3法

令和元年6月に担い手3法が改正されました。今回はその概要をお話しします。

担い手3法と呼ばれてもピンとこない方が多いと思います。これは建設業の担い手つまり人材を確保・育成するための3つの法律という意味です。正式には公共工事の品質確保の促進に関する法律(略して品確法)と建設業法と公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(略して入契法)の3つです。ちなみに品確法については住宅の品質確保の促進等に関する法律(所轄は消費者庁)や揮発油等の品質の確保等に関する法律(所轄は資源エネルギー庁)も品確法と呼ぶので、注意してください。

元の法律の目的はもちろん違いますが、平成26年6月に建設業の人材に関することを主目的として改正されたところから担い手3法と呼ばれるようになりました。それから5年。さらに深刻化する人材不足に対応するように改正が行われました。なお、3つの法律で、品確法は施行されていますが、建設業法と入契法は1年半以内(2020年秋ごろ)での施行となっています。

今回の改正は大きく5つのテーマがあります。「働き方改革の推進」、「生産性向上への取組」、「災害時の緊急対応の充実強化」、「持続可能な事業環境の確保」、「調査・設計の品質確保」です。最初の3つは3法共通ですが、4つめは建設業法で5つめは品確法のみのテーマです。

1.働き方改革の推進

今回の改正のメインは工期の適正化です。休日や準備期間、天候等を考慮した適正な工期設定や施工時期の平準化に向けた年度越しの工期設定です。中央建設業審議会が工期に関する基準を策定や繰越明許費の活用など具体的な対策に踏み込んでおり、年末、年度末の集中工事の緩和が進み、十分な工期があれば、長時間労働に対して、大きな改善があると思います。

ほかにも労務費の現金支払いや社会保険の未加入は建設業許可を出さないし、更新もできないことで加入を要件化するなども決まりました。

2.生産性向上への取組

こちらは監理技術者の専任義務の緩和、主任技術者の配置義務の合理化がポイントになります。監理技術者の下に第1次検定を合格した技士補を補佐で置くことで複数現場の兼任が可能になることや専門工事一括管理施工制度が創設され、一式以外で金額が少ない等の条件を満たすと一次下請に主任技術者がいれば、二次下請には不要にすることができます。これによって、技術者不足で仕事ができなかった状態が緩和されることになります。

また、情報通信技術の活用等による生産性向上というi-Constructionと連動した内容も記載されました。

3.災害時の緊急対応の充実強化

発注者は災害時の緊急対応で随意契約や指名入札を適切に行うことや発注者間の連携、建設業者団体の連携などがうたわれています。災害時には通常の積算単価と異なるので、見積書を取ることも必要といったことも書かれています。最近増えてきている豪雨災害等への対応だと考えます。

4.持続可能な事業環境の確保

こちらは事業承継を見据えた改正です。従来は建設業経営に関し過去5年以上の経験者が役員にいないと許可が得られなかったのですが、この期間がなくなりました。合併・事業譲渡についても新たに許可を得なくてもよく、事前認可の手続きで合併時に許可を有効にすることが可能になりました。建設業での事業承継は大きな問題となっているので、ここも変わってくると思います。

5.調査・設計の品質確保

今までは規定になかった公共工事に関する調査等(測量、地質調査その他の調査及び設計)が含まれました。工事そのものだけでなく、調査や設計にも品質確保が求められるようになったということです。

今回の改正は大なり小なりでほとんどの建設会社に影響を与えると思います。法律本文は少し難しい文章ですが、概要や要綱は比較的わかりやすいのでぜひ、気になる方は国土交通省の新・担い手3法のページを読んでください。

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