トータルリワードとIT

 みなさん、トータルリワードってご存知ですか。直訳すると総合報酬となります。つまり、通常の報酬である金銭的なものだけではなく、非金銭的なものも含んで報酬というものを考えましょうということです。

 具体的に言うと賃金(給与、賞与等)、報奨制度、福利厚生(年金、休暇、厚生施設等)、学習機会(キャリア形成プラン、教育研修、OJT、能力開発、資格試験援助等)、職場環境(職場の雰囲気、企業文化、協働メンバー、ライフワークバランス等)、報奨制度といったものです。

 別の視点で以下の6つのことが書かれているサイトもありました。

A(Acknowledgement)感謝・認知
B(Balance of Work and Life)仕事と生活の調和
C(Culture)企業文化や組織の体質
D(Development [Career/Professional])成長機会の提供
E(Environment)労働環境の整備
F(Frame)具体的行動の明確な指示

 この中で経営計画策定支援や業務改善支援を通して一番感じるのは、CとFです。支援企業の多くで問題になるのは組織の体質は変わらないものとして「あきらめ感」が漂っていることや企業文化を自身が感じていない社員が多いことです。この場合は、企業文化を作り出すこと、体質改善ができることを証明していくことから考えていく必要があります。また、概念的な総花的な指示しか出ていないために、自社はどちらに向かっていくのか見えていない社員も少なくない場合があります。この場合は経営戦略を一般社員の方にも理解できるような(自分のこととして腑に落ちるような)内容にして、繰り返し伝えることが重要となります。どちらにしても、金銭的なものでは何ともならないことであり、かつ企業継続の基本となることなのですが、なかなかできていないようです。

 就職難や価値観の多様化、転職支援サービスなどの普及により、終身雇用という形は影を薄めています。中途採用で活躍するかた、外部から来て、いきなり幹部として経営手腕を発揮されるかたなど会社自体が大きく変動している時代になっています。

 その中で優秀な人財をいかに確保するか、人材を人財にしていくかがとても重要だと思っています。特に会社の中で社員の動機づけいわゆるモチベーションを向上させる方法を考えることは何よりも大切なのではないでしょうか。

 今年、ベストセラーになった本に「モチベーション3.0」という本がありますが、持続する「やる気(Drive)」をいかに引き出すかということがカギとなっており、金銭的な問題だけでは解決できない状態になっていることを示唆しています。

 より大きなトータルリワードを実現するためにITができることはたくさんあります。在宅勤務や遠隔地とのテレビ会議、集合教育に近い教育も可能なe?ラーニング、ネットを使った情報共有や電子掲示板による性別、年齢を超えた討論。従来ではイメージすることすら難しかった出来事をITを使って実現することができます。

 IT経営という言葉が出てだいぶ経ちますが、経営の効率化や見える化のためのIT活用だけではなく、トータルリワードのような社員満足度向上のためのIT活用もIT経営の一環だと私は思います。これからの不透明な時代こそ、意識していくべきではないでしょうか。

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