電子ファイル整理術(その4)

 前回に引き続き、電子ファイルの整理方法についてお話しします。前回は、個人フォルダの取扱とそのバックアップについてでした。個人ファイルとはいっても業務ファイルですから重要なものもあります。そこを確実に抑えることでもしもの不安を減らすのがバックアップです。次は移動と削除ルールについてお話しします。

4.一時ファイルと削除ルール

 正規フォルダにあったファイルの一部を変更する際に一時フォルダを使って作業し、終了後、元に戻すことがよくあります。この時に念のためにコピーをしておくのですが、元と同じファイル名のままで編集していることが少なくありません。作業途中でほかの人が見たときにどちらが最新かがわからなくなります。結果としてどちらが最新かをファイル名でなく、日付や時刻で判断しなくてはいけなくなるのです。

 また、一時フォルダで作業していることを知らない人でパソコンに不得手な人は正規フォルダで作業をし始めます。特に、印刷や表示だけなら問題ないと思われるでしょうが、そういう方に限って作業終了時に不安から上書き保存をしてしまいます。こうなると一時フォルダと日付が逆転する場合も出てきます。

 そこで、一時フォルダで作業する場合はコピーをした後に、必ずファイル名を変えるルールを設けておくようにしましょう。特にファイル名に<作業中>や<森下修正中>などわかりやすい名前を付けておくことをおすすめします。また、修正後は元ファイルを更新したと一目でわかるような更新日付や修正内容を記載することが大切です。

 特に検討ケースのような場合は元ファイルから何通りも作成したうえに最終的にひとつしか採用にならないので、ファイル名を日付だけで管理すると内容がわからなくなります。多少冗長なファイル名でも検討の違いがわかるものにしてください。(最悪、検討A、検討BでもOK)

 実際、このようなルールを作らずに共有フォルダを使っていたために最新データを使わずに古いデータで更新作業をしたり、同じ修正作業を違う担当者が行ったりと失敗や無駄が起きたことは多々あります。名前を付ける作業はついめんどくさいと思って手を抜きがちですがきちんとやることが無駄な作業を防止する最大の策だと思います。

 共有フォルダを使うにつれて、どうしても容量的に削除をしなくてはいけない状況になる場合があります。できるだけ、削除はしないようにすることが望ましいですが、ソフトによっては自動的に作ってしまう一時ファイルやバックアップファイルなどは一定の時期を経過したら削除するほうが管理はしやすいです。この際におすすめなのが、担当者を決め、削除は一括管理で行うことです。そしてその作業は検索で行います。検索をほしいファイル探しにだけ使うのではなく、いらないファイル探しに使うがポイントです。

 私は以前は各人で定期的に削除することを勧めていたのですが、不慣れな人がバックアップと正規ファイルを間違って、正規ファイルを削除するケースが少なくなかったのです。特にパソコンに不慣れな方は拡張子表示をしておらず、アイコンの絵だけで判断していることが多いので、そのようなことがよく起きます。

 そこで担当者が一括で削除するようにします。その際に削除すべき対象を一時ファイルやバックアップファイルに限定します。こうすると拡張子を特定することができるのです。あとは、拡張子を指定して削除するのであれば、一番上の親フォルダでワイルドカード(たとえば*.bak) を使って検索をします。これでサブフォルダまで含めて一定の拡張子を一気に集めることができます。あとはそれを検索画面で削除すれば終わりです。これを知らないといちいちフォルダごとにファイル種類で並び替えて削除していかなくてはいけなくなります。また、検索であれば、日付指定もできますので、最近の分だけ残して削除なんて芸当もすぐにできますが、フォルダごとに覗くのではそう簡単にはできません。

 削除ルールは定期的に行うことを周知しておかないと人によってはなくなったことに不安や不信感を覚えます。ルールを決めて、ルールをみんなで共有する。当たり前のことですが、できていないことがとても多いです。忘れないでください。

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