無線LAN

 みなさん、無線LANをご存知ですか。「もう使っているよ」という方も少なくないとは思いますが、念のために紹介すると、無線LANとは従来LANケーブルでつながっていたネットワークを無線通信でつないだものです。そのため、一度設定すれば、ケーブルがつながっていた時と同様、プリンタ共有やファイル共有はもちろんのことインターネットもメールも普通にできます。速度もそこそこのスピードが出ますので、動画再生などはちょっと難しいかもしれませんが一般的なサイトの閲覧や音楽再生などは何の問題もなくできます。特に無線LAN内蔵のノートパソコンであれば、バッテリーが切れない限り、ケーブルレスで自由に持ち運びができ、無線LANの電波が届く範囲であればどこでも同じ環境でネットやファイル共有ができるのです。

 

配線が難しいフリーアドレスのオフィスやケーブル敷設に抵抗がある賃貸住宅・マンションで複数のパソコンでプリンターやファイル共有する際などに使われており急速に普及しています。最近はゲーム機にも搭載されるようになり、中高生が自分のゲーム機でインターネットをするために無線LAN環境を構築するような話も聞こえてきます。パソコンショップや大手家電販売店では専用コーナーができるほど、いろいろな商品も出ています。

 しかし、具体的にどんな風にすれば、自分のところでできるのか分からない人も少なくありません。また、無線ゆえに漏えいや侵入などのセキュリティが心配だとの声もよく聞きます。そこで今回から何回かに分けて無線LANの概要と設置のポイント、注意事項についてお話します。

 まずは無線LANの種類です。種類には大きく、通信手順とモードの2種類があります。通信手順とは、無線で結ぶ機器同士がお互いに情報を交換するために行う手順のことで、いろいろな方式があります。一般的にはIEEE(略語参照)が定めた802.11シリーズが有名です。アルファベットで別れており、

 IEEE802.11b 1999/10策定 速度 11MBps 周波数 2.4GHz
  IEEE802.11a 1999/10策定 速度 54MBps 周波数 5GHz
  IEEE802.11g 2003/06策定 速度 54MBps 周波数 2.4GHz
  IEEE802.11n 2009/09予定 速度300MBps 周波数 2.4GHz/5GHz

の4種類があります。2009年現在ではnのドラフト版と称して、製品が出ていますが、通常はb/gを利用しているケースが多いです。

気をつけたいのは、通信手順によって互換性がないことがあるのと速度は遅いほうに合わせるということです。無線LANを構築する際はできるだけ、通信手順の規格を統一していれることをお勧めします。

 次にモードです。これは意外とご存じない方が多いようですが、無線LANには2つのモードがあります。ひとつはインフラストラクチャモードといわれるもので、アクセスポイントといわれる親機を介して、無線LANアダプタを装備した子機同士が通信をするというものです。アクセスポイントは一般的なLANでのハブ(集線装置)の役割を担います。一般的に無線LANの構築といった場合は、このインフラストラクチャモードを指しています。これに対して、無線LANのアダプタ同士が直接1対1で通信をおこなうものをアドホックモードといいます。この場合はアクセスポイントは不
要でお互いの機器でファイルのやり取り等が可能になります。ただし、1対1以上はできませんので、3台以上で共有する場合はインフラストラクチャモードでやることになります。

 では、アドホックモードはどんな時に使うといいのでしょうか?たとえば、本社と工場とか現場詰所と事務所とか2つLANをつなぐような際に効果を発揮します。専用アンテナの設置も必要になりますが、500m?1kmぐらいは飛ばすことが可能です。現場で計測しているパソコンを無線LANを介して事務所でみるなんてこともできるのです。専用アンテナや屋外用ケーブル等が高価なため、手を出すのはちょっと簡単ではないかもしれませんが、ちょっと離れた建物通しで情報交換にフロッピーやメモリーカードでやりとりしているのであれば、ぜひ検討していただきたいと思います。

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