無線LAN(その5)

 無線LANの最後は、最近注目を浴びているモバイルルーターの話をします。

 モバイルルーターとは、携帯型のルータ(2つ以上の異なるネットワーク間を相互接続する通信機器)のことをいいます。この2つのネットワークというのはインターネットとLANのことです。つまりインターネット接続で与えられたグローバルアドレス(世界でひとつの住所)をLANのローカルアドレス(自分たちで決めた住所)に変換してくれる機能を持った機械です。実際にはひとつのグローバルアドレスで複数のパソコンを同時接続してくれる仕組みももっており、1つのルーターで複数台の機器が接続できます。

 

最近は、無線LANのアクセスポイントを内蔵し、小型軽量化、省力化が進んだ結果、電池で動かせるルーターが登場しました。これが携帯できるモバイルルーターです。しかし、携帯できても接続できるインターネットがなければ意味がありません。そこで、通信企業各社が自社の通信機能を内蔵したルーターを発売したのです。主なものとして

・WILLCOM どこでもWi-Fi
 PHSのウィルコムが出したモバイルルーター。上下204kbpsと スピードは遅いが月額980円と受信エリアが広いのが魅力。

・UQ AtermWM3300R
 WimaxのUQコミュニケーションズが出したモバイルルータ ー。上り10Mbps下り40Mbpsの高速さが魅力。月額4,480円。ただ し、で受信エリアが狭いのが難点。

・emobile Pocket WiFi D25HW(Huawei)
 イーモバイルが出したモバイルルーター。上り5.8Mbps下り7.2Mb psで月額4,580円。エリアはそれなりにあり、今は一番人気かもしれません。

があります。これ以外にも携帯電話を接続するタイプも出ています。

 これらのメリットは何でしょう。前回の現場での無線LANの話に戻します。プリンターの共有やハードディスクの共有などLAN内は無線化できるのですが、高速インターネットをつなごうとすると今まではADSLや光などの有線を引いておかざるを得なかったのです。そのため、開通までにメールやネットができない状態がありました。

 それが、モバイルルーターの登場で、あらかじめ設定しおけば、いつでも受信エリアである限り無線LAN経由でインターネット接続ができるようになるのです。つまり、本社でモバイルルーターを設定しておき、現場にルーターごと持ち込めば、すぐにネットやメールができるようになる。また、プリンターやハードディスクも無線LAN対応にしておけば、置いて電源を入れるだけ。電源以外の線もないので配置も楽ですし、片付けも手間がはぶけます。何よりパソコンには複数の無線LAN設定をしておけば、本社でも自宅でも現場でも何の追加設定もせずにネットを始められるのです。

 同じように現場詰所や仮設事務所で一時的にインターネットをしたいときでもモバイルルーターを持ち込むだけです。費用は上記のとおりADSLと大差ありません。スピードは受信環境に左右されるので同等とはいいきれませんが、それなりのスピードは確保されます。ADSLや光のような設置撤去工事も不要ですのでトータル
コストも抑えることが可能だと思います。また、仮にADSL等の有線を引く際でも引かれるまでの期間にモバイルルーターで仕事を始めることもできます。

 私が学生時代には考えられなかったことですが、今は固定電話をもたない学生さんがたくさんいらっしゃるそうです。確かに携帯電話があれば、一人暮らしで固定電話を引くメリットはないですよね。同じようにモバイルルーターが本格化すれば、ADSLや光などの高速回線も引く必要がなくなるのかもしれません。借家の方で線を引くのは大家さんの許可がいるなんて時代はいずれ笑い話になるのかもしれませんね。電話のための電柱がなくなるのはそう遠い先の話ではないのかもしれません。

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