消費税と建設業(その8)

 前回に引き続き、消費税増税対応についてお話をします。

 前回まで、契約、工程、請負金、支払、出来高のそれぞれの管理について留意すべきポイントをお話ししました。今回は少し脱線して消費税の取引分類についてお話しします。意外と知らない方が多く質問を受けることがあります。

 消費税は、購入金額に一定の割合でかかる税金です。シンプルなように見えますが様々な条件があり、少し複雑な内容になっています。前回までは消費税率が契約時期や支払時期によって異なることを中心にお話をしていますが、すべての取引に消費税がかかるわけではないということもあわせて知っておいてください。

 取引の種類として課税、不課税、非課税、免税の4つがあります。

(1) 課税取引

 課税取引はその名の通り、消費税がかかる取引です。少しかたい言葉でいうと国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引が対象となります。一般的な売買取引は入っていると思っていいですが、どちらかというと下記の3つの取引以外が課税取引だと考えたほうがわかりやすいです。

(2) 非課税取引

 非課税取引は本来は消費税がかかる取引なのですが、課税対象になじまなかったり、社会政策的配慮から消費税を課税しない取引をいいます。平たく言うと世の中的にそれに消費税をかけるのはよくないよねという取引です。土地・有価証券等・支払手段の譲渡、預貯金の利子、社会保険医療、介護保険サービス、助産、火葬料等が該当します。政策なので対象内容は将来変わる可能性もあります。食料品を含む生活必需品の非課税もしくは税率軽減が検討されていますが、なかなか難しいようです。

(3) 不課税取引

 不課税取引は根本的に消費税としての取引と扱わないものです。要は対象外の取引をいいます。消費税は基本的に国内前提ですので、国外取引はもちろん違いますから不課税です。また、寄付金や贈与、保険金、配当金などは資産の譲渡とはいえないので不課税となります。少し変わったところで給与・賃金も労働の対価なので不課税です。非課税との違いは課税売上割合を計算する際に非課税取引は分母に参入しますが、不課税取引は参入しません。

 ちなみに課税売上割合とは仕入の消費税控除額を計算する際に一括比例配分方式つまり個々の取引を区分せずに期間全体でいっぺんに区分する方式を利用する場合に使うものです。要は1回ごとの取引で消費税を計算するのは大変なので1年に1回まとめて計算しようというのがこの一括比例配分方式です。

(4) 免税取引

 最後に免税は非課税と似ていて、本来は消費税がかかる取引と考えてもいいが免除している取引です。具体的には輸出に関する取引が該当します。細かい話をすると非課税取引はその仕入に関係した取引の消費税を控除することはできませんが、免税取引はその仕入に関係した取引の消費税を控除することができるという違いがあります。なお、先ほどの課税売上割合の分母にはこの免税も含まれますので注意してください。

 免税はともかく、課税、非課税、不課税は建設業の取引の中でいずれも出てきます。とはいえ一般的に行っている取引を一覧表にして分類を表示すれば、そう大変なものでもありません。財務システム的には取引を選べば自動的に分類してくれます。大事なのはそのような分類があることを知識としてもっておき、適切な処置を行えるようにすることです。

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