前回に引き続き、消費税増税対応についてお話をします。
いよいよ、来年4月1日から消費税がUPすることになりました。10月 1日もすぎ、いよいよ経過措置期間に入りました。前回もお話ししたように10月 1日以降に契約したもので引渡日が4月1日を超えるものに関しては、消費税が8%になります。つまり、建設業では既に消費税8%の取引が始まっているのです。
さて、前回に引き続き、4つのケースでのお話で進めます。4つのケースは以下の通りです。
1.契約日:H25/ 9/30 引渡日:H26/ 3/31 これは原則で5%
2.契約日:H25/10/ 1 引渡日:H26/ 3/31 これは原則で5%
3.契約日:H25/10/ 1 引渡日:H26/ 4/ 1 これは原則で8%
4.契約日:H25/ 9/30 引渡日:H26/ 4/ 1 これは経過措置で5%
まずは、ケース3でのお話です。ケース3に限らず、工事請負契約はその契約期間中の消費税が同じになります。つまり、上記に記載した税率は期間のどの場合での支払金額においても適用されるということです。
では、10月1日に前受金をもらったらどうなるでしょう。ケース3の場合は当然のことながら消費税8%で前受金をもらうことになります。同様に2月1日に中間金をもらう場合も消費税8%でもらうことになります。既に消費税8%の取引が始まっているというのはこういうことなのです。
さて、もう一つ契約延長時の問題です。ケース2で契約したものが諸事情で契約が延長し、ケース3になったとします。この場合は契約全体が5%から8%に切り替わります。一部ではなく全部です。既に受けた前受金等の差分消費税をどうするのかまでは確認ができていませんが、全額がいきなり3%増しになるというのは利益率の厳しい工事ではかなり問題になることは間違いありません。
もう一つ忘れがちなのは、これは元請、下請関係なく、工事請負工事すべてに当てはまるということです。例えば、発注者から9月30日までに契約を依頼されて受けた場合、経過措置から消費税が5%の契約になります。
しかし、この工事の下請契約を10月1日以降に結んだ場合は、その消費税は8%です。すなわち、発注者から消費税5%で受領した工事金額のうちの一部を消費税8%にして支払う必要が出てくるということです。驚かれるかもしれませんが、17年前に消費税が3%から5%に変更になった際も同じようなことは起きています。
さて、このような対象は工事請負契約だけです。売買契約となる建売住宅や分譲マンションには適用されません。購入側はその支払時期において適用されている消費税で支払いを行えばOKです。では、外装や内装等に変更を加えられるような注文工事があるものはどうなるでしょうか?
これは実は工事請負契約とみなされます。つまり、経過措置に応じた消費税の対応が必要になります。契約が9月末までであれば、消費税は5%ですが、10月以降であれば消費税は引渡時期によって8%になる可能性があるということです。
公共工事において、よく仮契約日というものがあります。議会承認を得るまで、正式契約ができない場合に仮契約を行い、その日にちを仮契約日といいます。法律ではこの仮契約日も有効であり、これが9月30日以前であれば経過措置の適用で消費税5%になるということです。
測量や土質調査、設計業務も工事請負契約とは違いますが、類するものとして経過措置対象となりますので覚えておいてください。
いろいろなケースがあり、経理担当も含め、苦労されると思います。次回はそれぞれのケースに応じた留意点についてお話しします。