ネット戦略(その4)

今回もネット戦略に関するお話をします。今回は4Pではなくてもう1つのネット戦略のおはなしです。

前回まで、4P戦略についてお話をしてきました。

(1) Product(製品・サービス)
(2) Price(価格)
(3) Place(流通)
(4) Promotion(販促)

ネット戦略のうちの販売戦略もしくは認知度向上戦略といった社外向けの戦略でした。売上向上という視点では重要ですが、利益向上という点ではもう1つの視点が必要です。それが費用削減という始点での社内向けのネット戦略です。

以前、建設業におけるクラウドサービスでも紹介したように、費用削減として、IT利活用は有効ですし、今後も改善の主要ツールであることは間違いありません。業務情報を円滑に入力、加工、出力することで様々な時間短縮を実現し、その時間を利用して本来の業務時間を確保するだけでなく、情報の共有と再利用をすることで無駄な作業を減らし、できるだけ社員が標準的でかつ効率的でミスの少ない仕事を行えるようにします。結果として費用削減を実現する手助けになるのです。

情報の発信・共有・利用はパソコンやタブレット、スマホといったいわゆるITツールだけではその効果は限定的です。これにインターネットの様々なサービスを組み合わせることで大きな効果を得るようにすることが今後の経営では重要になります。

そこでもう一つのネット戦略として、社内でのインターネット活用もっと端的にいうとクラウドサービスの利用を組織的に計画的に立案、実施する必要があるのです。

戦略としては情報発信としての入力、システム・クラウドサービスでの加工、共有・利用としての出力をそれぞれで行うのではなく一体的に考えるようにします。また、戦略のスタートプランとしては以前クラウドサービス利用でも記載したように

・現場との情報のやりとりから
・既存業務のお困りごとから
・無料でイメージしやすいサービスから

を意識して立案しましょう。

また、入力から考えるのではなく、利用を前提とした出力から考えることもポイントです。ついつい利用頻度や利用による効果を考慮せずに何となくほしい様々な情報を入力しようとします。結果として入力負担が大きいだけでなく、利用されないことからその業務そのものだけでなく、ITへの不信感も増してしまいます。

多くの企業でネットの利活用が失敗している理由の一つに無駄な入力があるのは間違いありません。出力のメリットが最大限感じられる業務から徐々にネット化していくようにしましょう。

具体的にはほぼ毎日利用するとか法律上もしくは施工上絶対に必要な情報から入力する作業があり、転記が必要なものか入力箇所と利用箇所が離れていて、入手までに時間がかかってしまうことが困るような業務から始めるといいでしょう。作業日報や品質記録などはこれに該当します。

もちろん、戦略である以上局所的な業務のネット化では意味がありません。最初はこれ、次はあれ、その次はといった形で全体的な道筋(ロードマップ)を示すことが大切です。最初は3ヶ月から半年で成果がでるものから始めて、徐々に1年間かけて成果が出るようなものへ移っていきましょう。社員も効果が出てくれば取り組みにも熱が入ってくるはずです。成功体験というほどではないにしても自社での実感があることが他社での成功事例の何倍も社員への効果が高いのは言うまでもありません。

社内向けのネット戦略はなかなか形にしにくいものですが、これからクラウドサービスを考えると避けて通れない戦略だと思います。ぜひ、一度トライしてみてください。

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