IT計画策定の第2弾、ITインフラ計画の策定に関してお話します。
ITインフラ計画とは、各社員への端末(PC、携帯)やサーバー群、ネットワークを含めたハードウェアに関する計画です。ネットワークの内容が大きい場合は、IT機器調達運用計画とネットワーク計画にわけて策定します。
パソコンや周辺機器の選び方は「現場でIT」のG012?G023を、現場でのネットワーク構築は同じくG026?G028で紹介していますのでそちらを参照していただくとして、そこでお話したポイントを踏まえて計画策定の注意点を3つ挙げます。
(1)リース、レンタル、購入の上手な組み合わせを行う
経費から考えると、リースは会社会計の仕組みに最適なようですが、進化の激しいIT機器にはあまり向いていません。(ただ、デジタル複合機のように高価でしかも長期間使うものには有効でしょう。)買い替えやすいパソコンやプリンターに関しては、社員のものは購入を基本とし、派遣社員など一時的な増加に対応するものはレンタルと、それぞれの目的にあった導入方法とします。
購入といっても、会社購入・社員購入への支援金・現場購入等、やり方はいろいろあります。状況に応じた手法がとれるよう、計画時には購入手続きの社内ルールを明確に策定しておきましょう。
同様に、メンテナンス費用も計画の中に取り込んでおきます。ところで、コピー機のように1枚いくらのような契約をしているとき、3部報告書を用意する場 合を考えると、パソコンから一部だけを印刷+残り2部をコピー機で複写するのと、3部ともパソコンから印刷するのでは後者のほうがお得です。しかし、なぜ か前者のようにする例が多いのです。メンテナンス費用からどの機器を優先的に使うとコスト削減できるかを明確にし、計画に反映させると、おのずと使い方や 導入内容も変わってくるでしょう。
(2)使用期間を設定する
会社として、購入したものは壊れるまで使わせたいと思うものです。20万円以下一括償却資産であれば、3年で償却できますから、つまり、3年を超えるとただで使っていると思いがちです。しかし、ちょっと考えてみてください。10万円の入門機を6年間で2回購入するのと、20万円の中級機を6年間使い続けるのとで費用負担は変わりませんが、どちらが得なのでしょうか?前者のほうが明らかにコストパフォーマンスが高いのですが、現状は後者のほうではないでしょうか。これは使用期間を決めずにずるずる使うためです。機器の用途を明確にし、試用期間を定めるほうが、より効果の高いIT投資ができると知ってください。
また、ネットワークケーブルのように固定的なものも、無線LANへの変更や高速LAN(ギガネット)対応などがあり、決していつまでも使えるものではありません。継続利用するかどうかは別にして、見直し期日を必ず決めておき、定期的にITハード資産のたな卸しをすることをおすすめします。そのためには、IT機器台帳等で一元管理を行える仕組み構築しておきましょう。
(3)地震・盗難・不正侵入等、もしものときに対する配慮を行う
特にネットワーク計画においては、最終形をきちんと描き、ステップアップは会社の成熟度や世の中のIT動向にあわせた柔軟な計画にしましょう。セキュリティの計画では、最新情報をできるだけ多く入手し、適切な処置が施せるように予算を見ておくことが大切です。現場、本社、支店それぞれでのLAN構築から始まって、現場?本社、支店間WAN、エクストラネット、EDI(略語参照)と範囲が広がるにつれ、セキュリティに対する脅威も大きくなります。また、広げなくても無線LANにすると危険度は急激にあがります。成熟度を考えずに利便性だけでつないでいくと、不正侵入や改ざん、踏み台など自社だけでなく他社にも被害を与えることになります。ウィルスソフト導入等のシステム対応や、セキュリティ教育による対応も重要ですが、ネットワーク機器設定、パソコン管理、共有サーバーの保護とバックアップ体制・計画もインフラ計画の中では重要なポイントです。この類の予算・計画は、もっともないがしろにされやすいものですが、個人情報保護法の制定以来、顧客・世間の見る目は格段に厳しくなっています。もしもがおきたときの損害のほうがはるかに大きいことを自覚してください。