前回に引き続き、ファイルサーバーのセキュリティについてお話します。
今回も応用編です。よく聞かれるファイルサーバーとオンラインストレージの使い分けについてお話します。
ファイルサーバーのバックアップ先として
ファイルサーバーのセキュリティとして、バックアップは重要なポイントなのは言うまでもありません。さらにそのバックアップ先としてオンラインストレージも有効だというのは以前お話した通りです。
この場合は、ファイルサーバーに保存することがメインであり、あくまで、オンラインストレージはバックアップ先という使い分けをします。もちろん、この時のオンラインストレージは容量の少ない無料サービスでは難しいので、有料のそれなりの容量のあるサービスを利用することが前提となります。
マイクロソフト365の場合は、OneDrive for Businessが1アカウントで1TBつきます。単独で契約する場合は、749円です。Dropboxの個人用だと2TBが最小となりますが、月1200円(年払い)、Google Workspaceの2TBだと月1360円です。365を契約中なら、まずはOneDriveの利用を検討して、それ以上の容量が必要な場合は他のサービスの導入も含めて検討してください。
個人ファイルはオンライン、共有ファイルはサーバー
これ以外にも、個人でよく使うファイルや作成途中のファイルはあえて、ファイルサーバーにいれずに個人のオンラインストレージで作業を行ってもらい、ファイルサーバーには完成品というか共有もしくは今後利用するだろうファイルのみにする方法もあります。
この場合でもファイルサーバーのバックアップにオンラインストレージを使ってもいいですが、容量を減らすことができますし、個人のオンラインストレージがある分、バックアップとしてのリスク分散が可能になります。できれば、オンラインストレージのサービスは分けておく(ファイルサーバー用はOneDrive、個人用はDropbox等)とよりよいのではないかと思います。
また、個人でよく使うファイルだが、共有すべきものについては多少、冗長になりますが、ファイルサーバーにも個人オンラインストレージにも入れておくことで、より安心感は増します。ただし、ファイル更新を必要とするものは最新版管理をきちんとしておかないとどちらが新しいかわからなくなるので、注意が必要です。できれば、更新が必要のないファイルだけを対象とすることがお勧めです。できれば、読取り推奨の設定をしておきましょう。
エクセルやワードであれば、保存時にツールボタンの全般オプションを開いて、書込みパスワードと読み取り専用を推奨するチェックを入れておきます。これであれば、元ファイルは編集されないで済みますし、新しく名前を付けて保存すれば、新しいファイルの方は編集可能です。
PDFはぱっと見は編集できなさそうですが、実際はAcrobatや他社のPDF編集ソフトで編集が可能です。できれば、ファイル作成時に印刷以外不可になるような設定を施すことをお勧めします。CubePDFのようなPDF作成ソフトであれば、その設定が可能です。
あと、以前もお話しましたが、個人のオンラインストレージとの使い分けをする際には個人のオンラインストレージのバックアップをファイルサーバーに作らせないようにしましょう。ファイル損失対策としてはダメではないですが、容量圧迫の原因になりますし、セキュリティリスクは高まります。ファイルサーバーの個人フォルダは容量制限をかけておきましょう。
外部での共有はオンラインまかせ
他の使い方としては、ファイルサーバーは外部に公開せずに、外部でも共有したいファイルはオンラインストレージを利用する方法です。この場合はオンラインストレージでの共有フォルダを作成して、そのフォルダ内で共有したいファイルを入れておきます。
ファイルサーバーへの侵入リスクが減りますし、どこでもネットさえあれば共有ファイルが見れるので、便利な反面、最新版管理や上書きされるリスクがあります。また、共有フォルダのファイル分オンラインストレージの容量が減るデメリットもあります。
サーバー管理とリスク管理と利便性のバランスを考えながら、使い分けてください。