前回に引き続き、会社でのスマホの利活用についてお話します。
前回は、書類作成についてお話しましたが、今回は現場での測量業務についてお話します。
建築も土木も測量業務は重要な現場作業です。規模が大きい場合、基本測量や基準点作成は専門業者に依頼することが多いですが、基本的な測量業務は現場職員の仕事になります。
野帳アプリ、測量計算アプリ
以前は野帳と呼ばれる雨にも強い紙製の専用手帳に測量情報を記入していました。このあたりはすぐにアプリになり、必要な情報を記録すると自動的に他の数値が計算できます。数字の計算ミスがなくなり、記載ミスも減るなど便利でした。野帳アプリで検索すると出てくると思います。
また、測量計算には高さ測量の計算だけでなく、三角測量計算で三角関数を利用する計算があり、関数電卓等を使えばできますが、手計算ではちょっとめんどくさい作業があります。これらを専用で計算してくれるアプリもあります。現場で野帳と電卓でチマチマやっていたのがとても楽になります。
測量機器連動アプリ
次に従来の測量は測量機器を操作して計測する側と測量地点にたって、作業する側の2人体制で行っていた作業を1人でできるようにするための測量アプリです。
基本的には測量機械とBluetooth等で連動して、測量結果をそのままスマホに登録したり、スマホのデータを送信して、丁張などの位置出しを行うといったことを行います。測量機器を遠隔操作しながら、測量や丁張作業を行うので、測量機器側の人が不要になります。
作業員が減るだけでなく、データで記録が残るので、現場後の計算・転記作業がなくなるのはかなり効率化があがります。また、操作が簡単なことから、測量に不慣れな若手社員でも容易にできるようになるため、教育期間の短縮やベテランの負担も軽減できます。
専用機器とそれにあった専用アプリが必要なため、少し価格は高いですが、人手不足の昨今、測量作業が多い企業であれば大きな力になるのではないでしょうか。
スマホ単体で測量できるアプリ
最近はさらに、GPS/GLONASS/みちびきといった各種GNSS(衛星測位システム)との連動で簡易測量であれば、スマホ単体でできるようなアプリもあります。
スマホ単体だと精度が落ちるので、簡易測量になりますが、平面測量による面積計算はもちろん、高さ情報もとれるので、体積計算も可能です。
盛土作業や切土作業での作業量確認であれば、十分な精度で役割を果たせると思います。従来だと盛土、切土の作業量は面積や高さを上面と下面で測定して、台形体積を計算するレベルだったのが、スマホで測量すると途中でのくぼみやでっぱりも考慮した計算が可能となり、むしろより実際に近い結果が出せると思います。
また、最近はLIDARを利用した3次元スキャンができるスマホも出ています。単なる点データである測量情報だけでなく、カメラ機能と組み合わせて実際の3次元形状を色情報も含めて測量することが可能になっています。
3次元CADデータと組み合わせることで現況から干渉している場所や見直すべき場所をすぐに見つけることができます。現況測量情報としても利用できるので、新たな構造物をつくる場合の構想検討にも役立ちます。
GNSSレシーバーと組み合わせて、スマホだけで丁張を出せるようなスマホアプリも出てきています。こちらはベテラン監督でも少し習得に時間がかかる丁張を高校生でもすぐに習得できるレベルにしてしまうアプリです。サイトにアップしている動画を拝見しましたが、実際の作業効率にびっくりしてしまいました。
測量業務は専門性が高く、二人で行うことが基本だったことや測量機器そのものが高価なため、なかなか改善がしづらい分野だったのですが、スマホの進化や他の機器との連動で大きく改善が進んでいる分野です。今後の発展を期待したいですね。