デジタルカメラには、従来のフィルムカメラになかった使い方がいろいろあります。今回は、その辺をまとめてお話します。
1.練習・取り直しがやりたい放題
フィルム代がかかりません(当然です)。
例えば、提出用の状況写真とは別に、自分の勉強用写真(特に若手にはおすすめ)をとれば、作業手順をより深く理解するのに役立ちます。練習であちこちの写真をとってもお金がかからないので、経費にうるさい上司に怒らることもありません。(昔は、練習のために自分でフィルムを買い、構図の練習をしていました。)
もちろん、その場で内容が確認可能であり、取り直しも簡単に出来るので従来よりきちんとした写真をとらないと怒られますが。。。(昔は現像するまでわからないので取り直しができなかった。)
私がデジタルカメラを若手にわたすときは、工事写真以外に毎日テーマを決めてとらせるようにしていました。安全や清掃、周辺の風景等なんでもよいから出来るだけ多く撮るよう意識させます。デジタルカメラでとるとどのようにとれるのか(ファインダーからの範囲と実際の撮影範囲は違う)、ピンボケ、フラッシュの届く範囲、従来のフィルムタイプではなかなか出来なかった写真撮影の勉強が短期間でできるので、とてもいいことだと思います。
2.加工が簡単
デジタルデータなので、パソコンに取り込めばいろいろなことが出来ます。
よく使うのが報告書などへの貼付。従来はすぐに現像できず、進捗報告では数日前の写真を糊付けするか、文章のみで行っていました。それをリアルタイムで見栄えよく作成することが可能です。メールの添付書類として送付すれば、郵送代も不要です。しかも、送ったその数秒後、数分後には相手に到着しますから、郵送にかかっていた時間も作業に当てることができ、従来より作業時間にゆとりがもてるのです。
写真加工ソフトを使えば、逆光や暗いところでの撮影で上手にとれなかった写真が、見違えるようにきれいになります。着工前写真に、完成後のイラストを合成することもできます(これには技術が必要で、簡単とは言えませんが)。また、画像にコメントやイラストを追加すると、打合せの資料にも使えます。
最近では、複数枚のデジタル写真を合成してパノラマ写真なども簡単に撮影できるようになりました。橋やビルなど長物も合成すれば1枚の写真で見ることが出来るのです。
3.スキャナー代わり
最近のデジタルカメラは高解像度で、小さい文字も鮮明に撮影出来ます。昔はよくバスや電車の時刻表をとって手元にもっていたものですが、スキャナーがない現場でも、上手に撮影すれば紙データの電子化ができます。手書きのイラストや打合せメモ等も、とりあえず撮影しておくと、万が一紛失してもデジタルデータから復元できるので安心です。
4.従来わかりにくかった資料、作業が一変
危険事項是正指示は、昔は口頭だけで、どこのことか・実際にどこまで直したか等がわからなかったりしました。 デジタルカメラを使えば、巡回後、すぐに是正箇所を担当者に示せます。
また、2.で述べたようにデータをパソコンに取り込むと、修正箇所を写真上にコメントとして書けるので、正確に伝わります(上司がこの技を覚えたら、随分と是正箇所が増えたことがありましたが)。
さらに、是正後 同じアングルで撮影すれば、是正事項のライブラリーを作るのも可能です。
社内展開を思うと気が引けるかもしれませんが、会社の品質向上、安全向上にはとても有用でしょう。
作業手順書や機器の取扱説明書も、ビジュアルにわかりやすく作成可能です。私の体験ですが、最初、得意先の担当者に既存の取扱説明書を渡してある操作を説明したところ、専門外なのでわかりづらいと不評でした。そこで、基本操作だけ、すべての手順を撮影し、コメント付の写真台帳をプレゼントしたところ、大変喜ばれました。その後の質問もめっきり減りました。
現場での作業手順においても有効です。過去の現場で撮影した類似作業の状況写真を用い、危険ポイントを説明したところ大好評を得ました(意外と自分の作業の危険性は気づいていないものです)。
5.動画も取れる
最近のデジタルカメラは、その大半が動画撮影(音声付)可能です。(みなさん、あまりお使いになってないかもしれませんが。)
静止画で伝えにくい動きのあるもの(風や雨の様子。水の流れる状況)も、動画なら明確に伝わります。
FOMAを使って、テレビ電話を活用している建設会社もあります。そこまでいかずとも、高速インターネットの発達で、気軽に動画が送れるようになりました。私もそんなには利用していませんが、様々に応用できそうです。