現場でのネットワーク構築(その3)

 今日は3回目として、ネットワークを利用する際のルールのお話をします。

 まず大切なのは、「メンバーのレベルに応じたルールにする」です。
 

セキュリティを考えると、パスワードなし・利用者制限なし等は問題外と考えがちですが、利用しにくいから利用しないとなるのでは本末転倒です。まずは、利用者のレベルに合わせて簡易な共有からはじめ、徐々に本格的にしていきます。『ルールは状況に応じて変更するもの』と理解し、段階を踏めるようなルールで対応しましょう。
 段階に応じたひな型を会社全体で用意し、メンバーレベルで適用範囲を変更できる仕組みを作れるのが理想的です。

 たとえば、ネットワークをあまり使ったことがないメンバーで実施する際は、共有フォルダにAさん専用・Bさん専用というような「個人の作業フォルダ」と、全員が利用する「作業所共通」フォルダの2種類用意します。そして、バックアップの効率化という名目で、メンバーには個々のパソコンでなく共有ドライブにある個人用作業フォルダで作業してもらうようにします。こうして、ネットワークドライブやネットワークフォルダの使い方に慣れてもらい、従来フロッピーやMO等で受け渡していたものが簡単に交換できることも実感してもらいましょう。
 消極的な人には、少し強引ですが、その人のマイドキュメントフォルダをネットワークのフォルダに変更してしまう方法もあります。(そうすれば、自然にそこに保存でき、「ともかく、俺はぜったいにマイドキュだ」という人がいる場合は効果的です。)
 その後、作業所共通フォルダには、書類のひな型や工事納品物を保存するルールを作り、徐々に共有化を図ることにより、共有フォルダでの作業を覚えてもらいます

  また、紙と電子データの使い分けもルール化しましょう。つい、あれもこれも電子化するといった傾向が見られますが、一回きりの打合せ資料作成に、2日以上 かけるのは無駄です。必要に応じ、鉛筆やマーカーでの対応も可であることを明記しましょう。それらの資料を電子化する必要があるのならば、あとでスキャ ナーで読取り保存しておけばよいのですから。
 重要なのは、再利用性の高いものは多少時間かけても電子化するが、再利用性の低いその場限りのものはしないという割り切りです。この点をメンバーに認識させてください。どのようなものを電子化するかの基準は、国土交通省の電子納品基準を参考にするとよいでしょう。

 ところで、冒頭で、セキュリティはゆるくても可である旨の話をしました。
 しかし、ウィルス対策は常に最新管理することや、迷惑メールの対応、インターネット上の怪しげなホームページからのダウンロードはしない等、「余計なことをしない」というルールは必要です。パスワード管理はいやがるが、怪しげなサイトの会員になるは躊躇しない人方がたまにいるのには困ったものです(笑)。
 またセキュリティソフトのアップデートは、できるだけ自動化し、メンバーの負担にならないようにしまし
ょう。メンバーのレベルが徐々に上がれば、それに応じてパスワード管理なども厳密にやるようにし、セキュリティレベルを上げていく工夫をしていきましょう。
 迷惑メール対応も、最近は重要で す。不用意にメールを開封しないようにする、メールに書かれているリンクも信頼できると判断しない限りはクリックしない、添付ファイルは必ずウィルス チェックできるような設定にしておく、などは必ず徹底し、ルールとして守らせるようにしましょう。被害者が加害者にならないための重要なポイントです。

 電子データ共有が進むと、やってはいけない共有(違法コピー)が出てきます。見つかると、ソフト正規料金の2倍以上の賠償金を取られる上に社会的信頼も損ないます。絶対にやらせないようにしましょう。違法コピーなどせずとも、以前お話したフリーソフトを用いれば、基本業務がこなせるような環境は構築できます。これはまた別の機会にお話します。

 ルールについての注意事項をのべましたが、土工協のホームページ等で、運用ガイドラインが入手できます。参考にすると、迅速にルール化が図れるでしょう。