前回に引き続き、現場・外出時でのインターネットについて、お話します。
前々回は遠隔臨場、前回はネット環境の話をしました。今回はもう少し具体的な現場や外出時でのネット活用についてお話します。
8年程前にも「現場でのタブレット端末活用」でお話したのですが、今はその時も通信速度もタブレットの性能も段違いになっています。機能やサービスは正統進化といった感じで大きく内容は変わりませんが使いやすくはなったと感じます。
まずは現場からですが、写真管理だけでなく、出来形管理、測量計算等の機能がある施工現場用アプリの活用が増えてきています。有料のモノが多いため、すぐにお勧めとはいきませんが、これを機にと思われる方はぜひご検討ください。
野帳アプリを使えば、野帳に手書きで書き込んで、事務所に戻って転記といった作業は激減します。また、電子小黒板を表示できるアプリを使えば、黒板を使わずに写真が撮影できるので、荷物も大きく減らせます。(黒板に、赤・黄・白のはいったチョークケース、黒板消し、チョークホルダーと結構かさばりますからね・・・)
なお、写真管理アプリは「デジタル工事写真の信憑性確認モジュール搭載ソフトウェア検定」と「小黒板情報連携機能検定」に対応したものにしましょう。これなら公共工事でも安心して使えます。ちなみに令和3年4月1日から基準の管理団体がJACICから一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会というところに変わるようです。
テレワーク等で慣れてきたビデオ通話を使って、自分では判断が難しい現場の状況を上司や技術スタッフに見てもらってコメントをもらうということも簡単にできます。もちろん、事務所や本社側にサポート体制がないとダメなので、ネット活用を前提とした仕組みづくりはしっかり準備してください。
タブレットを使って、CADデータを見るのも一昔前ではデータ量が多いと動きが鈍かったのですが、最近の機種だとスムーズに動くことが増えました。(あまり画層数が多いとちょっと厳しいかもしれませんが・・・)タブレットに保存できるデータ量も増えて、現場全体のデータをもっていっても大丈夫です。A3の図面集をもって、最新版じゃないと事務所と往復する悲劇は減ってくるのではないでしょうか。(もちろん最新版管理は紙でもデータでも必須ですが・・・)
また、上記のように施工管理用アプリを使わなくてもGoogleスプレッドシートで測量計算ができるようにしておいたり、検査項目のチェックシートを作っておけば、ある程度は抜けのない現場管理ができそうです。
動画マニュアルが整備されれば、現場で施工手順や安全上品質上の注意点を動画と音声で確認することもできます。先ほどの上司や技術スタッフとの相談と組み合わせれば、新人さんでも安心です。
これは普及するまで少し時間がかかるかもしれませんが、ARで現場の完成図や組立図を現況に重ねたり、AIを使ってコンクリートのひび割れチェックをしたりといったこともできます。3Dでみる現場での完成図は現場監督だけでなく、施主さんにもありがたいのではないでしょうか。BIM/CIMが進めば、維持管理で数十年前の図面や資料確認といったことも容易にできるようになります。
外出先での作業もいろいろできるようになります。出退勤管理アプリを使って、直行直帰ができますし、日報アプリで作業日報を提出することも可能です。直行直帰は情報が不足がちになるので、コミュニケーションツールを合わせて使うことは必須ですが、お家を遅く出て、早く帰れる魅力は大きいと思います。
営業の方は、営業系のアプリで進捗報告や顧客管理も事務所に戻らずにできます。提案資料や技術資料もオンラインストレージに入れておけば、客先での対応でオタオタする必要もなくなりそうです。
セキュリティ面での注意は必要ですが、建設業はまだまだIT化による生産性向上は可能です。少しずつでいいのでお試しください。