今回は現場・外出時でのインターネットについてお話します。
最近は事務所はもちろん、現場でもモバイルルーターによるインターネット接続環境が整いつつあります。施工データを野帳に記録してから事務所に戻って転記することなく直接データ化できるようにするためです。コロナ禍でできるだけ感染リスクを減らすためにも効果を発揮しています。その中で2020年3月から遠隔臨場の試行が始まっています。今回はこの話を中心にします。
「遠隔臨場って何?」。建設業の方でも聞きなれない言葉かもしれませんね。これは国土交通省の定義によると『ウェアラブルカメラ等による映像と音声の双方向通信を使用して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うもの』です。従来は発注者側の監督員や検査員に現場に来てもらって、立会や確認をしてもらっていましたが、これはインターネットを使って、監督員は詰所や事務所にいながら立会・確認を行ってもらうものです。
「発注者が楽になるだけなの?」確かに発注者は往復時間がなくなります。現場によっては片道1時間、下手すると2時間近くかかる場合もあります。それがなくなるのですから、とても便利だと思います。
でも、それだけではありません。従来の立会だと立会自体は10分、20分で済む場合でも往復時間を考慮して、2時間以上空いているときしか監督員が来てくれませんでした。そのために調整が難航することがあり、最悪の場合は現場がストップすることもありました。
ところが遠隔臨場であれば、本当の立会時間だけで済むので、調整がしやすくなります。現場に来てもらう場合だと何回も来てもらうのは申し訳ないので、複数の立会や確認を一気にしてもらおうと検査時期を調整することもありましたが、遠隔臨場であれば、監督員の隙間時間でお願いできるので、そのような調整は不要になります。(もちろん、細かすぎるのもいけないかもしれませんが・・・)
立会待ちはコンクリート打設など時間に制約があるときには致命的なので、遠隔臨場はきっと受注者にもメリットがあります。また、コロナ禍においても移動がなく、密を避けることができる遠隔臨場は双方にメリットがあるので、今後は増えていくと思います。
ちなみに国土交通省が出している「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」での動画カメラの仕様は
映像
・画素数:1920×1080(フルHD)以上のカラー
・フレームレート:30fps以上
音声
・マイク:モノラル(1チャンネル)以上
・スピーカ:モノラル(1チャンネル)以上
です。音声はともかく、映像はそれなりにレベルが高いので、注意してください。一般的なビデオ会議だと高解像度書かれていても、1280×720(HD)という解像度の場合があります。これは通信速度によって、快適に送受信できる解像度にアプリ側が変更するからです。
発注者側もネット環境による制限については柔軟に対応していただけると思いますが、着手前に実際の現場でどの程度送信できるかを確認し、事前協議で承諾をもらうようにしましょう。
最近は通信機能付きのウェラブルカメラが出ており、1つの機器で送信できるような仕組みになっています。IT機器を使うのが不得手な方が多い企業であれば、このような機器を導入するのも一つの手です。もちろん、スマホだけでもできるのですが、通信量が気になる場合はモバイルルーターとの組み合わせになるので、ちょっとハードルがあがるということです。この辺りは他の話も含めて、次回お話しします。